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福澤徹三/東京難民


東京の三流私大に通う修。ある日突然両親が失踪して仕送りが途絶えた。学費滞納により大学は除籍、続いて家賃滞納によって住むところを失い、「あっ」という間に宿なし職なし手持ち金なしの境遇へと墜ちていく。

そもそもが大したやる気も器量もない修を、負けサイドの人間と切って捨てるのは容易い。が、ここにはいわゆる「人の不幸は蜜の味」的な味わいはまるでなく、むしろ、いつか自分がそうならないとは言い切れない「怖さ」が強く匂う。大学の除籍処分にしても、一人暮らし先の明け渡し退去にしても、金を払えない人間へと向けられる対応はまさしく問答無用。温情が付け入る隙などどこにもない。彼にしたってそうなれば必死のパッチで金を稼ぐべくバイトに励むわけだが、やはり、そうそうウマい話が転がっているはずもなく、手持ちの金は見る見るうちに減っていく。その焦燥感がまた半端なく生々しい。

豪快な転落はそれが小説であれば一種の快感を伴うが、人生という歯車が一つずつ止められていくジリ貧は、確実に精神を苛む。金がない焦りやイラ立ち、劣等感から友人や恋人を失い独りになっていくこのリアルな怖さは、はっきり言ってもう読みたくなくなるほどに救いなく、生々しい。当たり前に「ある」と思っていた生活は、ひとたび落ちた谷底から見上げれば、おそらく二度とは届かないだろう高みにある。なんとか這い上がろうと足掻いてみても、手をかけた爪は剥がれ、挫かれた足は疼き、全身は擦り切れるばかりで目線の高さは一つも変わらない。んなこともあって本作、中盤までは半ば精神の拷問のようにキリキリと展開するのだが、後半に入ってからは落ちた中でのある種の開放感めいたものが生まれ(単に自分が知らない世界だけに現実感が薄れるだけかもしれないが、、、)読後に残る感覚は意外と爽やかだったりするのだ。とは言え、決してこんな生活に墜ちたくはないが。先に読んだ著作も併せ、「恐い」も「怖い」も「強い」も書けてしまう作者の力量は何気に凄い。


『真夜中の金魚』の感想は→コチラ
『幻日』の感想は→コチラ
『アンデッド』の感想は→コチラ

| かっつん | 22:53 | comments(0) | - | pookmark |
WAKO'S バリアスコート



手元に来てから早や2ヶ月が経過したFuji Altamiraのフーレムセット。ちょこちょこと買い揃えていたパーツ類もほぼ揃った。さてこれをどうするか。プロショップに組み付けをお願いしたほうがいいと思いつつ、自分で組んでみたい気持ちも意外と強くて悩み中。どちらにせよ、何も付いていない現状のうちにコーティングだけしておいたほうがいいだろうと、問題を先送りにしてその作業に取り掛かる。



ネットで評判の良かったワコーズのバリアスコートを使ってみる。一部の特殊素材を除いて様々な素材に対応しており、かつ施工が簡単だというのがウリ。



施工前


施行後

と撮ってみたものの、元が新品かつマットカーボンだったため、ワタクシの写真の腕では違いをうまく表現できなかった。実物のほうは少し誇張して表現するならば、ザラりとした質感だったものが、しっとり滑らかな艶に包まれた手触りに変化した。一部情報によれば48〜72時間でこのコーティングが固定され、そこから軽く磨きをかけるとさらに艶が出るのだとか。とりあえず噂に違わぬ簡単施工でありました。ただし、石油系の臭いが結構強いので、オープンエアー+マスク装着は必須かと。

| かっつん | 22:50 | comments(4) | - | pookmark |
堪え性がない

京都マラソンは落選であった。いよいよ後がなくなった。今月いっぱいはランを休止しようと決めたのに、昨日からランを再開した。キロ6程度でスタートした。日常生活ではほとんど痛みを感じないぐらいにまで回復した(と思っていた)のだが、アップダウンのあるコースを3kmほど走ったところで例のズーンとくる感覚が右膝の上あたりに出始めた。ここで無理して走り続けるとまた1週間前に逆戻りするため、昨日はそこから歩いたり小走りしたりで30分/5km程度で帰ってきた。今朝も走ったが同じような感じであった。痛みを翌日に持ち越していないだけマシであると思いたい。今週いっぱいはこんな感じで、晩は低負荷でのローラー台+入念なストレッチという組み合わせでいきたい。痛みが出始めるまでの距離が短くなっていくようなら時期尚早ということで、朝ランは中止にするか頻度を減らそうと思う。あぁ、もう、11月ですよ。気分は7割方DNS。

| かっつん | 22:47 | comments(0) | - | pookmark |
CONTINENTAL Grand Prix 4000S


ロード用タイヤは評判の良いこちらに決定


コンチネンタル GP4000s


転がり抵抗、グリップ性能に加え、耐久性にもかなり定評があるそうで。
この穴の摩滅が交換の目印のようだ。5000kmも持つのね


よくわからんが


ドイツ人の尋常ならざる自信とプライドは伝わってきた

| かっつん | 22:12 | comments(0) | - | pookmark |
かぼちゃのプリン

ハロウィンってそもそも何の行事やったっけ?ってな具合のワタクシですが、この時期といえばカボチャ!かぼちゃのプリンを作りましょうねーということで午前中に作った。


レンジでチンして柔らかくなった南瓜の皮を剥いて


牛乳と砂糖を加えてミキシング。手前のボウルには生クリームと卵をあわせて混ぜたものを用意


それを濾しながら焼き型へ。焼き型の底にはカラメルを敷いております。


焼きすぎ?でも美味そう。




珍しくうまいこと型から抜けました




しっかりカボチャ、そして素朴な甘さで美味しい。すごく簡単に出来ました。

| かっつん | 22:25 | comments(0) | - | pookmark |
Fi'zi:k ARIONE Versus


ランニングに「シューズ沼」という沼があるように、自転車にはサドル沼という底なしがあると聞く。そんなもの、好んでハマる人はいないだろう。ワタシだってハマリたくはない。というわけでほとんど何の意味もない前フリをもって本題に入るのである。



ロード用サドルにFi'zi:k ARIONE VSを買いました。先の沼のこともあるので、最初からあまり高いサドルは買えない。ピストで使っているSELLE SAN MARCOのConcorは、特に3本ローラー時に尿道への圧迫を強く感じるので、今度買うサドルはイメージ的にそれが軽減されそうな穴あきタイプかなーと考えていた。


そこで当初はこのSELLE ITALIAのFlite Gel Flowあたりを検討していたのだが、横から見たシルエットが現在の好みとちょっと違うのと、実際のユーザーレポで「なかなか悪くない」という意見が多い反面、その後ずっと使い続けている人が少ないように見えたことからいったん見送った。と言っても価格帯からして他の選択肢はそれほど多くなく、最終的に定番のFi'zi:kに落ち着いた。


Fi'zi:kではユーザーの柔軟性によって各モデルを分類しており、前屈で手がベッタリ地面につく(しかし関節は固い)自分は、この表だとsnakeタイプということになる。


Fi'zi:kは「快適性」はサドルとお尻の接地面積の広さによって達成されるということを提唱しているそうで、この中央部に溝が設けられたチャネルデザインなるこのモデルは、他メーカーの穴あき構造のそれに並ぶ位置づけになるのかしら。ただ、本家ARIONEとこのVSモデルは似て比なるものというレビューもどっかで見かけたが。とりあえず初Fizikをこのサドルで体験してみて、相性が良いようであれば上位のKurveにいくのもいいかなー。

| かっつん | 23:08 | comments(0) | - | pookmark |
大物がやって来た


まーた何かデカい段ボールが来たよ

| かっつん | 23:02 | comments(0) | - | pookmark |
貴志祐介/ダークゾーン

2011年2月刊行の長編作。脳幹が痺れるようなディープ・インパクトを受けた前作「新世界より」の衝撃を再び、、、期待して手に取ったわけだが、、、

塚田裕史は、半ば朽ちかけた鉄骨の建物の中で眼を覚ます。そこからこの「ゲーム」はスタートする。自分を取り囲むのは、かつて自分の人生において関わりのあった人間たち。しかし彼ら彼女らは全て「怪物化」した「駒」として存在しており、塚田自身も四つ眼を携えた異形の「赤の王」として、その駒を動かし戦いに臨まなければならないのだ。世界最大の廃墟島として有名な端島(通称:軍艦島)にそっくりの孤島に、いったい何故?なんのために?という疑問への答えは一切不明のまま「ゲーム」は始まってしまう。なぜなら、同様に異形の「駒」を操る「青の王」が攻めてくるから。

分かっている「ルール」は、どちらかの王が殺された時点でその「ゲーム」は終了、そしてどちらかのサイドが4敗すればそちらは"全員消滅させられるのではないだろうか"ということだけ。王はそれぞれに異能を持った怪物たちを動かし、殺し合い、その「ゲーム」に勝ち続けなければならないのだ。物語はその異界における「ゲーム」と、塚田がかつて生活していた「現実世界」での生活を一幕ごとにテレコにして展開する。しばらくすると、その「ダークゾーン」と呼ばれる異界でのゲームが、将棋(あるいはチェス、囲碁)の要素を孕んでいること、塚田自身がかつて将棋のプロを目指す苛烈な競争環境に身を置いていたことなどが分かってくる。

この一風変わった背景もあって、序盤ではこの後の展開への期待が高まる。が、説得力ある構造を欠いたまま、とにかく「戦い続けなければならない」という設定で二戦、三戦と繰り返される戦いは、作者にしては随分抽象的に見える描写のヌルさもあいまって、次第にその緊張感を欠いたマンネリへと落ちていく。無人島での殺し合いという点では、名作「クリムゾンの迷宮」の足元にも及ばない。異形のキャラクター設定にしても、先の「新世界より」でのそれが素晴らしかっただけに、比べて見れば今作はどうも迫真性に欠ける。残る興味は、少しずつ明らかにされていく現実世界での顛末と「ダークゾーン」との連関に移っていくわけだが、それとて、最終的な結末はあまりにも平凡で迫力を欠いていた。快作揃いの著者においては、かなり凡庸な印象が残った1冊。 


『新世界より』の感想は→コチラ
| かっつん | 22:38 | comments(0) | - | pookmark |
中村文則/王国


あの男に関わらない方がいい…何というか、化物なんだ

と、眼に入った帯のキャッチに惹かれて読んでみたのだが、、、なんだろう、最初から最後までまったく盛り上がらなかった。物語の主人公/ユリカは、依頼を受けてターゲットとなる男性を篭絡し、その弱みを握るという、暴力的でこそないものの、表か裏かで言えば完全に裏側の世界に生きている。そして物語は、ある日の依頼を皮切りに、踏み違えれば直ちに身の破滅へと転落する黒々とした陰謀へと巻き込まれていく彼女の姿を追う。しかし、あまりにもありきたりなストーリーを裏切る仕掛けはなく、それならばと作者特有の群像劇を期待してみるもののその点でも肩透かしを食らう。そもそも、主人公のユリカからしてその言動がずいぶんと薄っぺらく見えてしまうのは自分だけだろうか。なぜ彼女がそうした世界に身を置くこととなったのかという背景として、過去の児童養護施設での出来事が断片的に散らされるが、特に有効に活きているようには思えない。あるいはキャッチにもあるような怪物癖をもった人間のエピソードも全くといっていいほど活かされない。つまりは冒頭で書いたような珍しくもないストーリーが淡々と進み、核となり得るべき「黒幕」も結局はパッとしないまま終わってしまったなぁという印象。他の作品から感じた作者の筆力からすると、今作はまったくもって物足りない。

| かっつん | 22:27 | comments(0) | - | pookmark |
自転車は危険な乗り物である


昨晩3本ローラーに乗るべく支度をしていたワタクシめ。最後に靴ヒモを結び終わって「いざ!」と立ち上がった瞬間頭の上に居りましたブレーキレバーに頭が突き刺さるという悲劇に見舞われ泣き笑い。手をやればうっすらと血が滲んでおりますよ的な痛さ。その後ローラーを回した結果全身の血流が促進され、顔面血だらけに!!!というとこまではいかなくて良かった。足の痛みにばかり気をとられ、頭がおろそかになっていたという好例。←意味不明

| かっつん | 22:23 | comments(3) | - | pookmark |

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