アルカサバに続いて、ヘネラリフェの離宮に向かう。こちらはイスラームの王族が避暑のため14世紀に造った、いわば王族の夏の別荘。アラビア語で「すべてを見尽くす者の住む庭園」の意。
さすがにこの季節、庭園を彩る草花は劣勢気味。それでも、壁を這うブーゲンビレアのようなこちらの花や緑葉のカンナが、どっしりとして流麗な石造建築に映えていて、なんとも格好よい。
シェラネバダから引かれた豊富な水と、どこか幾何学的な印象を放つ植栽が非常にクール。先に観た宮殿とはまた色合いを異にする、凛とした美しさを感じた。
宮殿内には↑のようなちょっとオモシロなオブジェクトも多数。そういえばスペインはどこに行っても街中の壁に落書きが多かったが、ここアルハンブラにいたっては、写真のように白樺の木にまで落書きがされていた。さておき4時間近く滞在したアルハンブ宮殿を後にし、いったん街のほうへ戻る。行きはバスだったが、帰りは裁きの門を出て真っ直ぐに坂を下っていくと、10分かからずにヌエバ広場に出れる。お腹が空いていたので、ひとまずBarへ。
こちら『BODEGAS La Mancha』
店内のタパから好きなものを選んでボカディージョにして食べる。ワインも美味しいし、地元のおじさんらでガヤガヤしてる空間も居心地が良い。で、その後『Posada del Toro』に戻り、預かってもらっていた荷物を引き取ってタクシーで今晩の宿へ。今日は贅沢にもアルハンブラ宮殿の敷地内に建つParador de Granadaに泊まる。
こちらが外観
宿泊客専用の(実際は入ろうと思えば部外者でも入れる)パティオはこんな感じ。
内装についてはわりと最近リフォームがされたそうで、残念ながら歴史的な趣みたいなものはほとんど感じられない。今回自分たちはネット予約で189ユーロで泊まったが、通常だと399ユーロとものすごーく高い!ここは旅行の計画の早い段階で、せっかくスペイン行くんだから、、、的な感じで予約したんだけど、前日55ユーロで泊まったPosada del Toroが凄く良かったのもあって、正直、価格からしての満足度はかなり低め。アルハンブラ宮殿の敷地内に泊まれる、というのがほんとに唯一のポイント。絶景を「所有」できたRONDAのパラドールの特別感ともつい比較してしまう。少し休憩して、再びアルハンブラ宮殿のほうへ。
こちらはサンタ・マリア教会
そしてこちらがカルロス5世宮殿。こちらはレコンキスタ完了後の16世紀、スペイン王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カルロス5世)の代に建造されたキリスト教建築。
これまで見てきたイスラム建築と比べると、格段に男性的な印象の強いシルエット。RONDAのこの写真と同じで、個人的にこの重厚な青・黄・そして赤の取り合わせは凄く好み。それからカルロス5世宮殿では『マティスとアルハンブラ』という特別展が開催されていた。入場には別途チケットが必要なのだが、なぜか係員の人が「いいよ」みたいな感じでロープを上げて入らせてくれた。これもオフシーズンならではの恩恵かしらん。
さておき、再び街のほうへ出る。日没を前に、ゴメレス坂を登った先にあるサン・ニコラス展望台へ向かう。1492年、フェルナンド、イザベルのカトリック両王にアルハンブラ宮殿を明け渡し、イベリア半島におけるイスラム最後の王となったボアブディルが、去りながらにその宮殿を眺め、落涙したとされる場所。当時と全く変わらない、最も美しいアルハンブラ宮殿の姿が見ることが出来るというその丘へ向かう。
高い塀にはさまれた狭い路地を進み、途中で少し迷いながら、サン・ニコラス展望台へと到着。その広場に出て振り返り、飛び込んでくるのが
この景色
冠雪したシェラネバダを背に抱き、徐々に夕陽に紅く染まっていくアルハンブラ(=赤い城)、そして右手に広がり黄金色に輝くグラナダ市街。本当に一枚の絵のように美しい景色だった。
夕陽を背に、帰路につく
この日の夜はヌエバ広場近くのBarで軽く食事を済ます。レストランが開くのは20時頃からなので、あまりちゃんとした食事は食べれず。
パラドールに戻ると、チョコレートが。先のMADRIDの四ツ星ホテルでも同じようなサービスがあった。
帰りにBoulangerieで買ったパンをつまみ、風呂に入って就寝。
尋常でない密度の装飾に飽和した頭を抱え、続いてアルカサバへ。アルハンブラ宮殿の中で最初に造られたのがこのアルカサバ(砦)だそうで、一説には9世紀には建築が始められていたそう。
現在は半ば廃墟のような感じで存在しており、ご覧のように補修なのか何なのかよくわからない処置が各所に見て取れる。
左に見えるのがベラの塔。全盛期にはこうした塔が全部で24存在していたそう。
こちらはアルマス広場と呼ばれる部分。建物の基礎だけが残っているが、かつてはここに兵士の住居や捕虜を入れとくための地下牢なんかがあったとのこと。
城塞だから当たり前だが、見張り台からはグラナダの街並みが一望できる
スペインに来てからはどこへ行っても新旧の建築物が何の違和感もなく並び立っていることに驚かされるが、グラナダもしかり。この景色の統一感は見事。羨ましくなることしきりの、本当に美しい街並みが広がっている。
厚い雲が流れては去り、流れては去りする天候だったが、ヤコブの梯子に照らされる街の輝きには、寒さを忘れるような一瞬があった。
6時半起床。今日はアルハンブラ宮殿観光へ向かう。8時前にホテルをチェックアウト。ホテルの朝食は8時からだったので、朝食はどこか別でとるつもりだったんだけど、先に書いたようにホント良い雰囲気のホテルだっただけに、朝食もここで食べてみたい!と思い、ダメもとでフロントの人に「ちょっと早いけど、いい?」と聞くと笑顔で「大丈夫」とのこと。10分ほどで食べ終えて、ホテルに荷物を預かってもらいバス停へ急ぐ。アルハンブラへ向かう30系統のバスはマイクロバス。これは乗ってみて分かったんだけど、発車地のGran Viaで満員になったりするため、次のバス停で待ってても満員で乗れない、という可能性が高そう。
バスは15分ほどで宮殿敷地の入口へ到着。そこから歩いて王宮へと向かう。
天気は曇天。時々陽も射し込むけど、やっぱり今日も寒い!予約時間の9時になり、いよいよ中へ。
後はもう、圧巻。広大な空間を構成する床が壁が柱が天井が、隙間無くびっしりと微細な装飾に埋め尽くされている光景に言葉を失う。それではしばし、言葉を失った我々の写真をご覧ください。(手抜き)
偶像崇拝が禁じられたイスラム教ゆえ、装飾そのものは幾何学文様や植物モチーフの模様であったりと、それ自体が華美だったり抽んでた印象を与えるものではない。が、それが凝集した空間が観る人を驚嘆せしむるその背後にはたぶん、一体どれだけの人がどれだけの時間をかけてこれを創り上げていったんだろう、、、という、およそ個人の物差しでは計りきれない歳月の重みに対する畏怖の感情、みたいなものがあるように思う。この規模と密度は、これまで見たどのイスラム建築とも別次元に感じた。細部を見るほどに眼を奪われる王宮を後にし、次はアルカサバへ向かう。
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