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寂しいフライデーナイト
金曜日 一時の解放感を味わう勤め人の姿を横目に
独り家路に向かう我が身の悲しいことよ
フ、飲みに行きたいぜ



お昼は『cafe 0.3miles』 たぶん7訪目
牛肉の赤ワイン煮込ナリ たぶん2回目



壁の書棚には、好きな感じの写真集がワンサカ。
今日はAndreas Gurskyなどを観ていた。
人間が完璧に風景の一部になっている写真がカッコイイ。
画集がホシイが高い。。




中崎から梅田中心部へと歩む道すがら
| かっつん | 19:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
異ジャンルのフュージョンにより口内にもたらされた革命
今日は『コンフィデンス カフェ』で昼ごはん。
カレーメニューが多いのだけど
最近カレーはいささか食傷気味なので違うものを・・・
と思って見たら目に入った本日のパスタ。

海苔の佃煮とアボカドのパスタ。

一瞬何かの見間違いかと思って再度黒板を見直したが
やはり本日のパスタの欄にはこれが書かれている。
「アボカド」ではなく「アボガド」と書いてあったが。
なんとなく頼んでしまった。



コレ。
コレがなかなかに美味かったのです。
こんな組み合わせよく思いつくよなーと感心。
帰りにレジにて「オシシカッタデス」と言う。
店内に結構好みな風景写真が展示されていることに
通って4度目で初めて気づきました。。


音楽の話
本日帰りにマーキュリー・レヴのベスト(?)を購入。
来月2日には映画のサントラ盤も出るようです。
こちらは全曲インストだそう。楽しみ。

で、Nuccini!の来日が決まったようです。

"いいにおいのするパーティー2"
11/23 (木) 大阪:鰻谷SUNSUI
◎ 開場 17:00 / 開演 18:00 / ¥2,500(スタンディング・別途ドリンク代)
出演:Zucchini Drive (from Belgium/ Sweden)/ Nuccini! (from Italy)/ SHUN (DJ)/ Vampillia/ HOSOME
チケットの一般発売:10/7(土)〜
(問):SUNSUI 06-6243-3641/ M.O.P. 06-6244-0670


11月下旬はMars Volta、65daysofstatic、そしてコレと
ライブ続くなー。上旬はモグワイだし。
| かっつん | 21:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ロコモコ対決

『カフェ 太陽ノ塔』のロコモコ
こってり系ソース。
胡椒がピリっと効いております。



『カフェ パラボラ』のロコモコ
野菜たっぷり。手ごねハンバーグが美味い。
もち米が入っている!?


ネタが、、、無い。

| かっつん | 22:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
コーラス/2004年/フランス・スイス/94min

1949年、フランスの片田舎。“池の底”という寄宿舎に新たに赴任してきたクレマン・マテュー。そこでは、親をなくした子どもや、素行に問題ある子どもたちが集団生活をしていた。子どもたちは心に問題を抱え、校長はそんな彼らに容赦ない体罰を繰り返していた。マテューは子どもたちに本来の純粋さ、素直さを取り戻してもらおうと、“合唱団”の結成を決意する。


舞台こそフランスなれど、「音楽」を介在させたヒューマンドラマという意味で
『ブラス』『リトル・ヴォイス』『リトル・ダンサー』などと
趣を同じくする作品。個人的にこういう作品はスゴク好きだったりする。

マテュー役のジェラール・ジュニョは、悪ガキどもにどう厳しく接したってその背後に優しさや慈しみが滲み出てくるかのようで、観ていてなんとも心癒される。子どもたちの多くもなんとも可愛らしく、特に土曜日に両親が迎えに来ると信じて門扉に佇むペピノ役のマクサンス・ペラン君のキュートさには参った。

で、そうした教師と子供達が、歌を通じて成長していく様を描いていく、、、はずなのだが、うーん、作品としては些か造りが甘いような。場が進展するにつれ、いくつかの困難が立ち現れるのだけれど、それを乗り越えていく様やそこに音楽がどう作用しているのか、といったことはほとんど描かれておらず、この作品においては最もキモであろう天使の歌声を持つモランジュの成長っぷりも、ほとんどマトモに出てこなかったりする。普通であれば、この合唱隊が晴れの場で美しい歌声を披露するシーンにて感動の涙と共に幕引き・・・と思うのだが、実にアッサリとそんな願望もかわされてしまい、最後は喜んでいいのか悲しんでいいのかよく分からない終わり方をしてしまうのでした。まぁ、とか言いつつなんだかんだ結構楽しんだワタクシ。
| かっつん | 23:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
美酒には浸れなかったが最高の轟音となかなかに旨い食べ物にありつきそれなりに着回しの効きそうな秋物を買うことが出来た週末の記録
9月23日土曜日
14時頃に遅めのランチ。
立花通を抜けなにわ筋を越えたところにある『Barbez』へ。



自分が食べたのはクスクスランチだったが
写真映えのするキッシュランチを掲載してみる。


品の良い紳士淑女のためのバブリーなデパートメントストア
マルイが関西では神戸に続き2店舗目として
難波高島屋前に堂々とオープンした。
ゴッタガエス人に混じって、へへへなぜか入店。
メンズのブランドはタケオキクチトルネードマートコムサetcetcetc・・・
オ、オモンネー。。
やはり私には縁の無い場所になりそうです。
彼女がオデット デ オディールで靴をいくつか試着。
リーズナブルなのに華やかで可愛い。
結局本日は、いつも行くセレクトショップにてカットソーを購入。
秋冬インナーの差し色として使えそう。
しかしまた意味の分からん英ロゴが入った服を買ってしまった。
Energy In Blackってドウイウコトダロウ・・・



sisiiってブランドのレザーブルゾンがかなりカッコよかったが
色が望むものと違ったので、今度神戸の路面店に行ってみようと思う。

祗園ウーピーズへライブを観に行くついでに
近くにあるアゼルバイジャン料理店に行こうと思っていたのだけれど
ライブ終わったらもう22時前でありーの
阪急の終電は早いーので今日はアキラメル。
で、イカリで冷やし中華などを買って帰った。。



9月24日日曜日
久しぶりに『クリシュナルパン』へ。



いつもよりナンが肥大化して見えるのは久方ぶりダカラカ。。
カレーは毎度のことながら深みコクがあり美味い。
このとき時刻は14時過ぎ。
結局今日は晩ご飯時になってもこのナンがあとを引いていたため
イングリッシュパブで軽く飲んでチーズ食って帰った。
| かっつん | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
牧野修/楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史


現実の皮が剥がれたときに見え隠れする幻覚妄想恐怖戦慄神秘奇蹟を
ヒステリーの治療過程に見立てて並べてみせた、凄絶作品集。



いや、かなり面白いというか刺激的な短編集でした。個人的には牧野修はまだこれで2作目なんですが、独自の美意識を感じさせる言語感覚をもって、現実と妄想狂執のあわいを侵食するようにドロドロと溶かし込んでいく様が、非常に不気味でありおぞましくも魅力的であり、気持ち悪いのに昂然としてしまう、見たくないのに覗いてしまう、そんな強烈な吸引力というかニチャリとした吸盤で吸い付かれるような、ヒャー気持ち悪いでもナンだか異常に気持ちいい世界を創出する作家さんだと思います。

夢を見ない者の一人称の問わず騙りにより幕を開け、次第にその後景(もしくは光景)が明らかになるにつれ読み手は謎に駆られ、え何これどういうことっていうかちょっと不気味だ気持ち悪いかももしかしてグロイのかなウワちょっと怖いよ怖い待って待ってって意味分からんから待ってって言ってるのにどんどん加速していき混沌の渦に巻き込まれていく『いかにして夢を見るか』

公衆便所にて死に行く女の半生のフラッシュバックと、進み行く船の上に蠢く無数のグロテスクな姿態のモノたち(節のある腹をバンドネオンのように伸び縮みさせながら編み物をする虫の船医、通信業務を行う前の通信士は何者であるのかという命題に悩む幾重にも複雑に折られた鏡で出来た通信士)の様子が交互に紡がれやがて結びつく『夜明け、彼は妄想より来る』

それが乗ってきた
それは例えていうなら天使である

天使が男に授けたインキュバス言語。それは中年男性の性的妄想を主体として構成された言語であり、その修得によって男は世界を言葉によって再構築していく、という設定としてはBにもならんようなありふれた代物でありながら、それがこの牧野修の手にかかれば、いやホントにこの人の頭の中はドウナッテイルノダロウカと思わずにはいられない、超圧倒的という言葉でもってしても到底形容できないような文字の洪水、密蜜しい淫靡な言語のTSUNAMIが紙面を埋め尽くし世界を創造していく余りにも馬鹿馬鹿しく余りにも壮絶な『インキュバス言語』

"神の自殺”をグロテスクでエロテイックなヌメリを横溢させる精緻な文体で淡々と描いていく『中華風の屍体(チャイニーズデッド)』は、全13作品中最も"ホラー"な質感がストレートに漂う。

演歌と神秘主義の関わりを、思わず「ホントかよ!」と信じてしまいかねないほとんど妄執的とも言える大真面目な緻密さによって記していく『演歌の黙示録』は、そうした奇想天外なアイデアに自己埋葬されてしまうことなく完璧なエンターテイメント性を放出し、気づけば最後にはスペーシーな怪物が登場するスプラッターまがいのグログロ世界へと突入するという凄まじさ。登場人物は魔術関係の実在者をパロっているようだ【詳しくはココ

そして、テキスト情報から生成される[テキステイク]という物質から製造された言語人形(ラングドール)の逃避を描く『逃げゆく物語の話』は、牧野ワールド全開の本作においても最も著者らしい、美麗な言語感覚と情感が迸るように横溢するステキで詩的な物語。



津原泰水『綺譚集』を読んだ際と非常に似た昂揚感を覚えた、何だかあまり深みにハマッては不味いような、異形のモノが放つ凄みを見せつけられたような作品。すごく良かった。


第1章 診断
いかにして夢を見るか
夜明け、彼は妄想より来る
召されし街
第2章 症状
インキュバス言語
ドギィダディ
バロックあるいはシアワセの国
第3章 諸例
中華風の屍体
踊るバビロン
演歌の黙示録
第4章 療法
或る芸人の記録
憑依奇譚
逃げゆく物語の話
付記・ロマンス法について

| かっつん | 19:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
キンキー・ブーツ@OS名画座




突然の父親の死で、倒産寸前の靴工場を相続したチャーリー。工場は救いたいが、優柔不断で八方塞がりの彼の前に現れた、救いの女神は・・・ロンドンはSOHOに君臨する美のカリスマ、ドラッグクイーンのローラだった。工場を救う新商品の開発に悩むチャーリーと、窮屈な女性用ブーツに悩まされているローラが出会ったとき、特殊なニッチ市場を狙った史上初のドラッグクイーン専用のキンキーブーツ作りが始まった。勝負一ヶ月後のミラノ国際見本市。だが、二人の大胆な計画の前に、保守的な田舎町ノーサンプトンの嘲笑と偏見という大きな壁が立ちふさがる。前途多難な二人三脚、果たして二人は立ちふさがる数々の障害を乗り越えられるのか。フルモンティ以来の話題をさらって、イギリスに社会現象を巻き起こしたハートフル・ムービー。


を観にいってきた。
英国ノーサンプトンの老舗靴会社であり、作中で何度も登場する会社のロゴマークもマンマCrocket & Jonesだったりする。最初に、これは実話に基づく物語であるうんたらとテロップが流れているのだが、当然クロケッツとは関係ない。ブラスやリトル・ヴォイス、リトル・ダンサーといった、英国を舞台にしたハートフルムービーの王道に則り、非常にストレートな起承転結がある映画の一つで、この系統が好きな自分としてはかなり楽しめた。展開のところどころで、その持って行きかたにかなり粗い部分があったりはするのだけれど、それはご愛嬌。メインとなる『靴』にもっとネットリと焦点を合わせてくれたらもっと良かったのだけれど、それでも終盤でズラリと繰り出されるドラッグクイーンのステージングはなかなかに壮観であり、押し出しがあってカッコ良い。上記作品が好きな人は、見て損は無いと思う。
| かっつん | 22:15 | comments(0) | trackbacks(1) | pookmark |
週末外食備忘録
はい、色々食べましたよと。

9月16日土曜日の晩。
大阪市中央区の国立文楽劇場の裏手にある島之内という
雑多なミナミにおいても一段と濃く無国籍な香りが漂う地域にある
『故郷 羊肉串店』へ。
一年以上前から行こう行こうと言いつつ後まわしになっていた店でもある。
中国北西部の吉林省、中でも朝鮮民族の多い廷辺地方の料理を出すお店だそう。



上から順に、マトン、羊筋、ウズラの串、木耳と胡瓜の和え物、水餃子。
店内にはズラリと中国語で書かれたメニューが掲げられ
背後では中国語と思しき言語が飛び交っている。
犬肉を始めとして変わった食材を用いた料理も多々あったが、今回はパス。
素材自体に激烈な衝撃があるわけではないのだけれど
そこに香辛料が絡むと何とも美味。
クミンぐらいしか分からないのが恥ずかしいけれど
なんとも食欲をそそる刺激がありました。



9月17日日曜日の昼
最近週に一回は通っているカフェ『Mambo』へ。
あいかわらず今日も下のライブハウスから
サウンドチェックと思しき音が轟いている。



鳥の唐揚プレートと、パスタランチ。
唐揚という普通のモノを作っても美味い
というのがなんだかすごい。
そして今日も食後のコーヒーは濃厚。

OS名画座で『キンキー・ブーツ』を見た後
ミナミへ戻って晩ご飯。
メキシコ料理店には満員御礼でフラレ
境筋方面へと歩いて、シリア料理店『サハラ・ムーン』へ。
一年以上前に一度訪れたお店。
シリア料理ってどんなん?
と思うけど、イランとかトルコとかと結構似ている。



・ほうれん草を使ったピザのようなもの
・鶏肉に酸味がかったソースをかけたサフランライス
・ヨーグルトとナスと何らかのペースト

頼んだ料理の内容について記憶が曖昧。
ペーストにオリーブと胡瓜で顔の絵を描いて出してきた
現地店員のおっちゃんが可愛すぎました。
出す瞬間の、褒めて貰うのを待つ子どものようなあの表情。
あれこそ激写すべきものでした。
スパイシーなエスニック料理とはまた違い、
酸味の効いたマイルドな味がめちゃ美味かった。
良いお店です。



9月18日月曜日

どことは言わないが、堀江のとあるカフェでお昼。
これがまた劇的なヒットをかます。
こ、これがパスタか!!!
と言いたくなるような激烈にマズイ物体が出てくる。
サラダなんて、こんなの兎も食べんよと言いたくなるような
見かけも味もヒドイ一品。
こんなのでやってけるところがコワイ。
さすが観光地。いやー不味かった。




その後、自転車でえっちらおっちらと
天王寺区の大阪市立美術館へ行ったのだけれど
目的であった根付の常設展がやっておらず
すごすごと帰る。

で、ヒドイお昼の口直しというわけで
長堀通沿いのカフェ『コロンビア』へ。



シフォンケーキとレアチーズケーキ、ラテマキアートなどを頼む。
ここのラテやカプチーノは相当に濃厚で美味いのだけれど
初めて今日はケーキ類を食べてみた。
これがまたすごく美味しくて、
昼の嫌な記憶も一発で吹っ飛ぶよう。
いや、ホントに美味しかった。

で、晩ご飯は我々の最後の地、
歌舞伎座裏の和食処『はし清』へ。



ざる豆腐やだし巻き玉子、三菜蕎麦など、
毎度のことながら一切ハズレなしの美味いモンを食べた。
鯛の造りもポッテリ肉厚プリップリで最高でございました。


| かっつん | 21:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
佐藤賢一/オクシタニア

十三世紀フランス南部、オクシタニアと呼ばれた豊饒の大地に栄えた異端カタリ派。ローマ教皇はその撲滅のために「アルビジョワ十字軍」を派遣する。戦乱が迫るオクシタニアの都トゥールーズの民兵隊長エドモンは最愛の妻ジラルダがカタリ派に入信したことを知り、不安にかられるのだが…。正統か異端か。神をめぐる壮大な戦いに巻き込まれていく男と女の運命を描く西洋歴史小説の傑作。


13世紀。フランス南部の豊穣の地「オクシタニア」を舞台に、聖俗並びに正統と異端の対立を大きな軸として繰り広げられる壮大な物語。個人的には3年前に単行本で読んでいたので2読目になるのだが、いやはや何とも面白すぎる。興奮した。

物語は1208年、ローマ教皇特使ピエール・ドゥ・カステルノがトゥールーズ伯レイモン6世に殺害されたことを契機に、教皇インノケンティウス3世が討伐の十字軍を宣布することに始まる。その遠征十字軍の中で主たる光を当てられるのが北部騎士、シモン・ド・モンフォール。名家モンフォール一族に生まれ、しかして北部の慎ましやかな領地において安寧の日々を送っていたシモン。心底に自らも気づかぬほどの鬱屈を抱えながらも、妻と子に囲まれる日々を幸せとして送っていた彼が、半ば騙されるようにして足を踏み入れたオクシタニアへの遠征によって大きくその後の人生を狂わせていく様が、前半の肝として描かれる。恵まれた体格にも関わらず臆病で、十字軍の目を背けたくなるような残虐の日々から早く早く逃れようとするシモンが、窮地において自らの信仰する神の「本物」たることを確信し、異端派から”魔王”と恐れられる快進撃でもってオクシタニアの権勢図を塗り替えていく。

対する第2章では、異端とされるカタリ派の拠点、オクシタニアの視点から世界が描かれる。豊穣の地オクシタニアに在る薔薇色の自治都市トロサ。豪商の息子エドモン・ダヴィヌスは、1217年10月8日、迫りくるシモン・ド・モンフォールの軍勢を撃退する。オクシタニアを震撼せしめた男を、投石機によって肉塊へと帰した。勝利に沸く都市の狂騒を一方に、妻のジラルダが異端カタリ派へと出家し、自らはその反動から半ば衝動的に正統カトリック教会の一派であるドミニコ会へと入信することになる。

シモンの息子アモーリ・ド・モンフォールを総大将に置き直した十字軍は、しかしその勢いを失い、トロサ伯レイモン7世率いる南部勢力によって、一度は手にした領地を再び奪い返されていく。そして1224年1月24日の降伏勧告の受諾。アモーリは城門の鍵をレイモン7世へと引渡し、父の遺骨と共に北部へと撤退していく。

ここが非常に面白い。父祖伝来の土地を取り返し、去り行く十字軍敗残兵の行進を見ながら思ったラモン7世の心中描写。

ラモンは敗軍から目を逸らすことができなかった。遠ざかるにつれて、寡兵の頼りなさは痛々しいくらいであり、これでは人を集められないというようりは、誰かに見捨てられたようだ。甘えたアモーリなら、きっと神に見捨てられたというだろう。ならば、この私は神に味方されたことになるか。はん、馬鹿らしい。十字軍を見捨てたのは人間だ。いうまでもなく、フランス王が見捨てたのだ。【中略】がんとラモンは後頭部を殴られた思いがした。【中略】(王太子ルイは)圧倒的な大群で北辺の都市マルマンダを陥落させた。五千人を数える大虐殺を行うことで、南部騎士を一気に震え上がらせた。そのままトロサ包囲にかかり、薔薇色の都もこれまでかと思われた矢先のこと、ほんの四十日でフランス軍は撤退してしまったのだ。なんでも、軍資金が枯渇したとか、補給不足が深刻な状態になったとか。
「いや、嘘だ」
と、ラモンは今こそ確信していた。あれは王太子ルイの故意だ。思うところがあって、わざと十字軍を見捨てたのだ。が、あの時点で見捨てる理由とは、なにか。そう問うたとき、耳奥に蘇るのはアモーリの泣き言だった。あれほどまでに(父が)傲慢な自信家になったのは、オクシタニアに取り憑かれてからのことです。少しでも多くの土地を征服することしか頭になくなりました。
「これなのか」
見落としていた罠とは、これなのか。ラモンの頭に最悪の図式が浮かんでいた。フランス王がオクシタニアに目をつけた。王太子として下向して、いっぺんで取り憑かれてしまった。が、モンフォール家を助けるのでは、決して自分のものにはならない。でなくとも、自らが国王として全権を揮える地位に上らないかぎり、南部を征服するだけの遠征は起こせないはずだった。ために王太子ルイは捲土重来を考えて、当面は時間を稼ぐことにして、さっさと軍勢を引き揚げて・・・


そしてフランス王の軍勢が怒涛の態で攻め来る。こうした一連の流れというのは史実に則っていながら、学校の歴史の教科書では一行にも満たないようなこの「史実」から、こうした劇的な物語を創造する様は、ほとんど驚嘆。圧倒的な知識量と緻密な文体により紡ぎだされる怒涛の文字の奔流は、本当に圧倒的。読中読後のカタルシス、といった点でこの作家の右に出る者はいない。というのは大袈裟に過ぎるかもしれないが、それほどまでに佐藤賢一の描く世界は緻密にして壮大、圧倒的な力強さと昂揚感でもってこちらを打ちのめす。同時に、氏の作品に共通するのが、一人の人間の煩悶と苦悩、そこへ射し込む光の如くそれらが霧散する瞬間、あるいは激しく敵対する人間同士が、あるときに瞬時にその心を通わせる際の描写といったものが随所で劇的に織り込まれ、その精神の浮沈が得も言われぬ昂揚感でもってこちらを洗うのである。歴史に造詣が深い人などからすれば、ある意味冒涜とでもいえそうな解釈も多々ありそうだが、しかしこの人の描く中世の西洋史ほど刺激的で興奮する世界など、他には無い。最近はこの辺のフィールドから離れ、近世アメリカや日本史、最新刊ではアメリカ第2次南北戦争なんかを舞台に物語っている氏だが、やはりこの人の独壇場はここ、中世ヨーロッパに在るのだということを再認識したような気分。
| かっつん | 11:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
海人と話す
私の父親は今年の冬に早期退職し、今春から沖縄の宮古島に家を建てて一人で移住したのですが、早くもホームシックにかかったか先週からこちら大阪に帰って来ている。久しぶりに昼ごはんでもどうや?と言われたので、本日お昼に紀ノ国屋前で待ち合わせ、焼き鳥食べに行ってきた。思ったよりは焼けてない(注:トリじゃなくて父がね。)。ビール(父だけ)片手に鳥を食い、食いながらオキナワンの話を聞いていた。台風はやはりスゴイだとか庭に糸瓜の種を埋めておいたら勝手に生えてきて勝手に育つだとかやっぱり当地の失業率はものすごく高く求人倍率は島では0.2倍であるとかいったことを聞く。父、行く前は周囲が散々止めたにも関わらず「年金出るまでは貯金(注:そんなに無い)切り崩したりしながら月10万円で生活するのだワッハッハ」とか言っていたのだが(注:ワッハッハとは言わない)、やはりそう上手くはいかないらしく、向こうで職を探すもやはり手になんの職もない我が父のようなお人が0.2倍の求人倍率に打ち勝つことははなはだ困難であり「自分より少し上の定年退職後移住した人達が年金貰いながら暮らしてる」様だとか「自分より若い子たちがダイビングインストラクターやペンション経営などをしながら暮らしている」様を見ながら若干鬱気味になっているようだ。だぁーかーらぁー言ったじゃなぁーい、と思ったけど言わない。そして自分も少なからず父のこうした性格を併せ持っているということも嫌々ながら自覚しているので、父に対してそのように否定的発言をすることは即ち自分を否定することにも繋がりそうだから、だから言わない。しかし我が父、先はまだ長いよ。移住して半年でこんなんになってて大丈夫ナノダロウカ?といささか心配になった昼下がりであった。
| かっつん | 23:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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