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平山瑞穂/忘れないと誓ったぼくがいた

独特のリアリズム、表し難い悪夢的な余韻が素晴らしかったデビュー作『ラス・マンチャス通信』に続く2作目は、意外や「恋愛小説」というフォーマットでやって来た。
存在が"消え"ていく少女/織部あずさと、その記憶をとどめようと苦闘する「ぼく」の関係から描かれた世界。存在していた事実が、しかし全ての人の記憶から"消え"てしまうというありえない事象を扱ってはいるものの、その「障害」を乗り越えて彼女を思わんとする「ぼく」の視点から叙述される物語は(おかしな言い方だが)れっきとした「恋愛小説」として成立している。

喜怒哀楽の表現がストレートに胸を打つ描写は、『ラス・マンチャス通信』の模糊としてブラックな感触とはほぼ間逆。ラスト周辺でヒトの"記憶"を巡る思索にまで行き着く(ことも可能な)展開に、この作者ならではの深みも覗けはするが、あくまで本作では「ぼく」へと移入し、その起伏に富んだ物語世界へ素直に浸る向きが支配的だと思う。それなりに心動かされるパートもあったのだけど、正直『ラス・マンチャス通信』での"ワケの分からない興奮"みたいなものを期待して臨んだため、やや肩透かしを喰らったような感じはする。


『ラス・マンチャス通信』の感想は→コチラ
| かっつん | 21:03 | comments(0) | - | pookmark |
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