Entry: main  << >>
天然コケッコー


邦画は数を観てないので偉そうなことを言うようで恥ずかしいが、山下敦弘は日本の若手監督の中ではかなりの実力を備えた人だと思っている。初めて知ったのが、大阪で開かれていたショートフィルム祭。この時の遭遇は、面白いとかじゃなくてほとんどショック体験みたいなもんだったが、その後『リアリズムの宿』や『ばかのハコ舟』、『どんてん生活』といった過去作、一番最近だと『松ヶ根乱射事件』なんかを観るうちに、その独特の空気が充満する世界が好きになっていた。

なわけで今作。結果の感想から言うと、最後まで何をしたかったのか分からないまま終わってしまったという・・・。小中学生合わせて全部でたった6人しかいない田舎の学校に、東京から転校生(イケメン)がやってくるという話。くらもちふさこ原作の、少女漫画が映画化されたもの。そういう舞台背景からして他の作品群とは毛色が違うため、嫌な言い方をすれば『リンダ・リンダ・リンダ』同様、撮りたい作品を撮るための貯金的な作品かなと思ってた。

ただ、この人の"毒っ気"がうまく"スパイス"になって取り込まれてた『リンダ・リンダ・リンダ』と違って、今作は最初から最後までぼわ〜んのわ〜んとしてトリトメが無い。懐古や感傷をまぶした甘酸っぱい物語世界自体が悪いわけではないんだけど、そこにこの監督らしさが入ってないからどうにも面白くない。極端に言うなら、誰が撮っても同じでは・・・とか思っちゃう。序盤の夏祭りのシーンで、シゲちゃんなる怪しいお兄さんが滔々と語りだす辺り、お!キタんちゃう!?と思ったが、そっからいつもの如く強烈な閉塞空間へと観手を追いやることはなく、言わばガス抜きの穴だらけ、逃げ道だらけのユルイ展開がずーっとずーっと続いていった。山下敦弘のどういうとこが特異で好きなのかは過去の感想で書いてるとおりだけど、今作にはそれが事前に思ってた以上に皆無。地方デパートのバレンタイン特設コーナーのの何とも言えん空気や、床屋の2階の薄暗い部屋でのあっちゃんとシゲちゃんの会話シーンなどこの人特有の瞬間はあるとはいえ、そもそも根底から向いてる方角が違う感じ。

こういうのも撮りたいから撮ってる、ってのがホントのとこだとしたら物凄く失礼な話なんだけど、ポップでキャッチーな中にもしっかりと己の味付けをしていた『リンダリンダリンダ』と比べると(同じ狙いで撮ってるのだとして)かなり魅力に欠ける作品だと思った。
| かっつん | 20:51 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment








Trackback

Search

管理人運営の音楽サイト

Winterlight
ポストロックを中心に紹介。 轟音・サイケ・シューゲイザーからUK/USインディーまで この辺の音が好きな人は覗いてみてください

ブログランキング参加中

ブログランキング・にほんブログ村へ



Entry

     

Category

Archives

Calendar

      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>

Profile

Comment

Trackback

Others

無料ブログ作成サービス JUGEM

Mobile

qrcode