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食品系ドキュメンタリー2本

健康って何?(原題:WHAT THE HEALTH)

 

たぶん食に関するドキュメンタリーの中ではわりと有名な作品。肉や乳製品の摂取が、がんを始めとするありとあらゆる疾患の原因となっていると主張し、植物中心の食生活=ヴィーガン(完全菜食主義)を提唱している。印象に残ったポイントとしては


・全米○○協会みたいな組織には、実は大手ファーストフード・チェーンや食品関係、薬品会社などにスポンサードされているものが多い。
→場合によっては、その○○協会が本来撲滅すべきはずの疾患の原因ともなりうる食品で儲けている会社から金品を貰っていて、本当にその疾患を根絶する意識はあるのか!?あるいは薬品会社などはその疾患に対する治療薬を販売して儲けているのに、これまたこの病気を根絶させてしまったら商売あがったりになっちゃうんじゃないのか、という矛盾
・人間が食べるために大量飼育される家畜が置かれている劣悪な環境
→自分たちが摂取している食肉の背景に、こうした動物虐待としか言いようのない実態があることに対する倫理的な抵抗感。あるいは不衛生な環境下で飼育されることによる抗生物質漬け、汚染まみれの肉や乳製品を摂取することに対する多大なリスク。


この2点は無視できないところだと思った。しかしその一方で、この作品の主張するところは少なからず偏向的で脅迫的なところがあるように感じたのも確か。作品では冒頭から「食肉は発がんリスクを増大させる」という"研究結果"を取り上げたニュース映像を繰り返しセンセーショナルに引用し、次いで「糖尿病や心臓疾患の原因って実は炭水化物(糖質)じゃないんだよ。実は本当にヤバいのね、、、」といった感じで食肉や乳製品の害悪をかなりショッキングに並べ立てていく。


「乳製品や肉類の脂肪は血管にへばりついてコレステロールの壁になり、炭水化物の吸収を阻害し、心臓病や糖尿病のリスクを高めるんだよ」とかいうのはまだ分からんでもないがチーズを「牛の膿」と形容し、牛乳は「ホルモン物質を多量に含んでいて、乳がんや子宮がんのリスクを増大させるだけ。人間が飲むようなもんじゃない」とする。加えて一般的には牛や豚と比べてヘルシーなイメージの強い鶏肉については「食肉の中では最も汚染されていて危険」だとし、魚についても天然養殖問わず「濃縮された汚染物質を取り込むことになるからダメ」だと。


監督のキップ・アンダーセンは、こうした主張を裏付け補強するような"リサーチ"や識者の"意見"をもって、上述したような各種○○協会にインタビューしたりするんだけど、その様子はなんだかあまりにも排他的一方的で、相手の意見やその主張する根拠は「全部嘘だ」と決めつけハナから受け入れる余地がない姿は見ていて不快。じゃああんたが根拠としている"リサーチ"にはどれだけ信頼性があるのか?あるいはその論文を発表している研究機関には何ら矛盾する資金提供はされておらず100%クリーンだと言えるのか?さらにはこの映画の中で"証言"している医師や栄養士はどれだけ信用できるのか?と聞いてみたくなる。それに作品の中では「たとえオーガニックなビーフや乳製品でも、結局はその飼育されている土壌が汚染されているから無駄」みたいなこと言ってるけど、じゃあ完全菜食主義のあんたが食べている野菜や穀類にはそうした農薬や化学物質汚染からまったく無縁でいられるのか?と。


食品に限った話ではないが、物事というのは必ず多面的な見方が可能であって、結果的にその表すところが真逆であるなんてことは珍しくもなんともない。この作品が並べ立てる主張もある一面では事実だろうけど、じゃあそれ以外が全て「国家レベルの陰謀に塗れた嘘っぱち」だと考えるのはちょっと短絡的に過ぎる。これまで病院から処方される大量の薬漬けで歩くこともままならなかったような病人が、たった数週間「菜食」に取り組んだだけでそれが全部治っちゃった、みたいな事例を万人に当て嵌められる真実みたいに喧伝されちゃうと、逆に胡散臭さが漂ってくる。歳をとってでっぷりと太った白人を見ていると、もはや肉を食ったとか食わないとかのレベルではなく、生活習慣のいろんなところに問題があり過ぎやろ、と思う。正しく生活習慣病。


いちおう断っておくと、別に自分はヴィーガンやベジタリアンを否定したいわけではない。史上最強のウルトラランナーと言われるスコット・ジュレクが完全菜食主義者として知られているように、トップアスリートの中にもヴィーガンを実践している人は多く、そうした点からも個人的には菜食主義に興味はある。加えて、自分が口にするものがどういったものからどうやって作られているのか?ということに自覚的になることは非常に大切だと感じている。ただ、基本的に「万人とって万能」な食品や食生活なんてものはないと思うし、極端に偏った食生活にはリスクが伴う、とも感じている。自分で考える判断材料の一つとしてこうしたドキュメンタリーを観るのはとても有用だと思うけど、それにしては少々プロパガンダ的な要素が強過ぎる作品だと思った。

 

あまくない砂糖の話

 


NETFLIXオリジナルのドキュメンタリーにはかなり面白いものが多く、これだけでも契約する価値があるなと思うぐらい。さて今作は、結論から言えば個人的な評価は6/10ぐらい。現代社会に蔓延する「砂糖」の危険性について、自らが約2ヶ月間それを摂取しその結果を記録することで証明していくといういわゆる「スーパー・サイズ・ミー」系の作品。「スーパーサイズミー」以降、この手法自体にはもはや斬新さはなくなってしまっているので、それプラスαのポイントがないと正直二番煎じな感は否めない。個人的には精製糖の中毒性や危険性はかなりのものだと感じていて、と同時に自分でスイーツなどを焼くようになってからは、市販のアレやコレに含まれる砂糖の量は想像を絶するレベルで多い、ということも判ってきた。小麦粉もそうだけど、砂糖が持つ中毒性はたぶん危険薬物のそれと何ら変わりないだろう。本作でもその辺のヤバさが実証的に示されていて、意図的に砂糖を過剰摂取していく監督が、身体的にというよりは明らかに精神的にヤラれていく様がかなり怖い。なもんで監督の元気がどんどんなくなっていくせいか、作品が若干中だるみしてしまってる感もあったけど、全体的にはポイントをしっかりとコンパクトにまとめた感じで面白かった。

| かっつん | 21:14 | comments(0) | - | pookmark |
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