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津原泰水/ヒッキーヒッキーシェイク

あくまで各種文学賞を作家サイドから見ても(もちろん一般大衆の感覚としても)「名誉」だと捉えるなら、という前提はあるけれど、その作品クオリティの高さに反して、一般的にはまったくそれに見合った評価や知名度が伴っていないと感じる作家が津原さん。もちろん、まったく無冠というわけではないのだが、その独創性と筆力、そこから生み出される物語のエンターテイメント性からすればもっとメジャーな文学賞を獲っていてもおかしくないのにな、と思う。まぁ、この辺は大ファンとしての贔屓目なのかもしれないし、これだけ単行本と文庫本で出版社が異なる作家も珍しい(?)し、色々と難しいところのある人なのかもしれないが。

 


そんな津原さんだが、昨年リリースされた2作はいずれも、その筆力をより一般的にウケやすそうな設定・物語に傾けてきた印象のある内容だった。2作を比べて見れば、先に読んだ『エスカルゴ兄弟』のほうが、自分が料理にハマっていることもあって好みだったが、読後少し間が空いてしまったため、また再読した際にでも感想は書いてみたい。

 


とういわけでようやくこのヒッキーヒッキーシェイクの感想に入る←前置きが長すぎる。超カンタンな粗筋を書けば、ヒキコモリの訪問カウンセリング業みたいなことをやっている竺原という男が、受け持つヒッキー達を束ねてあるプロジェクトを進行させようとする、というお話。それぞれに特異な才能をもったヒッキーとは言え、それほどエキセントリックなわけでもなく、当初設定から予想したような強いインパクトはなく。中盤にかけて竺原がやろうとしていること、その背景が分かってくる辺りで津原泰水の真骨頂とも言えるゾクっとくるような感覚が一瞬あったんだけど、いざ明るみに出てきたそれが思っていたほど奇異でなく、以降はいまひとつ盛り上がりに欠けるまま終焉を迎えた、という感じ。ただ、やはり津原さんの書く人物たちが持つ繊細なやさしさ(時には気難しさ)によってか、↑に書いたような物足りなささえも柔らかな余韻の心地よさに感じられるのはさすが。

| かっつん | 21:22 | comments(0) | - | pookmark |
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