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意外なところで自転車が本格的だったSF畑の小説
もうblogに感想を書かなくなって久しいが、だいたい週に1冊程度は本を読んでいる。昔と違って媒体が紙ではなくkindleになったり、小説だけではなく雑誌や漫画もたまに読むようになってはいるが、基本的に活字が好きなことに変わりはない。

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最近ハマっているのが藤井太洋という作家さん。この人のことは、津原泰水の作品目当てで買った伊藤計画関連のアンソロジー"NOVA+ 書き下ろし日本SFコレクション 屍者たちの帝国"に収められていた"従卒トム"を読んで初めて知った。適度な質量を備えたスピード感のある文体。一気に読み進められるが、小説の体幹ががっしりしているため浮ついた感じがまったくない。というか、多くのSF作家同様に、様々な分野に跨る専門知識が半端ない。

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"Gene Mapper"では、遺伝子工学に関する相当に深い知識がストーリーの核として存分に機能。でありながら、そんなカッチリとしたSFのボディを持ちつつも「文系読者お断り!」な硬さはなく、むしろそれとは反対の感情のうねりや軽妙なタッチの機微が物語をうまく展開させている。

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今読んでいるのが"UNDERGROUND MARKET"シリーズの3作目"アービトレーター"。まず驚いたのが、背景設定における予言的とも言える描写の的確さ。増税に東京オリンピック、TPPによる輸入作物の拡大や労働力としての移民受け入れなど、現在の、そしてこれから何年後かにはかなりの確率でそうなっているだろう日本の姿を、驚くほど的確に描写している。

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そうそう、予言的な描写といえば、先に読んだ"江波 光則/我もまたアルカディアにあり"が良かった。生活保護制度が究極まで進んだ近未来とも見える「超福祉国家化」した日本を舞台に、アル・ジャンナ一族の一人称で時系列をクロスさせながら物語が語られていく。そこにはある種の異様なリアリズムと迫力があり、加えて抜群のエンターテイメント性も兼ね備えておりめちゃくちゃ面白かった。

話を藤井大洋のUNDERGROUND MARKETに戻すと、意外なところで面白かったのが、登場人物らが移動手段としてロードバイクやブロンプトンなどを使っているところ。そんな設定自体はまぁあるとして、読んでると「この作者、絶対にロードバイク乗りだわ」と分かる描写がどんどん出てきて地味にニヤリとさせられる。30卆茲量榲地まで1時間で行こうと思ったら、だいたい35〜6km/hで巡航しないといけない、とか、貰った月餅を4つに割って、1欠片=100kcalと計算して補給のタイミングを考えたり、あと走行中の車へのハンドサインや気配り、その意識描写のいちいちが、これ絶対乗ってないと分からんやろ、という表現ばかり。
この辺、別にストーリーのkeyではないし、自転車乗り以外にはただの感覚的な描写として通り過ぎていくんだろうとは思うけど、こういう表現がやたらと多いのだ。いったい作者が何を意図してこれだけ細かい部分に拘ったのかは不明だが、この抑えきれない作者の自転車愛、これだけで自転車乗りとしては藤井太洋に親近感を抱くはずw。

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も一つ余談だけど、自転車小説として有名な『サクリファイス』三部作(『キアズマ』も加えると4部作)の作者/近藤史恵さんの著者近影などを見ると、失礼ながらまずロードバイクなんて乗ったことないだろうなと思うのだが(←ほんと失礼だな)あれはあれで乗ったこともないのによくあれだけリアルなプロトン内の心情描写やドラマティックな描写が出来るもんだと、プロの作家さんの凄さを感じる(^^;;


自転車関連といえば、前から観たいと思っていた映画"プレミアム・ラッシュ"をようやく一昨日に、観た。ちょうど日本国内でノーブレーキ・ピストが(そして一般的には混同される形でスポーツ自転車全般が)白眼視されていた時期だったので、これは劇場公開されなかったのも納得だわね笑。疾走感ある画面展開は好みのタイプだったけど、作品としては平凡。メッセンジャーのリアルな実態が描かれているわけでもなく(むしろ表面上の上っ面しか描かれていない)それも含めてストーリー展開がペラッペラだった。ジョゼフ・ゴードン=レヴィットは好きな俳優だから最後まで見れたけど。。


今朝は渦ヶ森Runの予定で起きた。昨晩、いったん寒さが緩んだように感じたのだが、起きてみると空気がかなり冷え込んでいて寒い。。例によってトレオフにする理由を考え始めた思考をシャットダウンして、着替えて出発。渦ヶ森はやめてジョグで。ただ走り出してみると、思いのほか脚が軽い。なので山幹往復のペース走に変更。これだったらちゃんとスピード走用のシューズ履いてこればよかったな、と思いながら、キロ4分強をイメージして10km。最後までフォームはぶれずしっかり動いており、呼吸のほうも余裕がある感じ。ゴール後、これでAve.4:00/km切れていれば、、、と少し期待しながら時計を見るとAve.4:06/kmと遅すぎ。。そら呼吸も楽やわ、と思った。言い訳要素はシューズぐらいしかなく、それだってそこまで関係なさそう。スタートまであと2週間を切った別大マラソンに不安が募るね。珍しく今日の午前中は強烈な眠気に襲われたけど、睡眠が足りてないのか?そういえばここ何日か、寝る前に読んでる本が福澤徹三/廃屋の幽霊という怪奇ホラーで、この人のは心理的な不安と恐怖が同居していてかなり圧迫感があるのね。単純なワタクシはこれのせいで連日イヤな夢見て睡眠が浅くなってる自覚はあるw。やめればいいのに、でも面白いからついつい読んでしまう、読ませてしまう罪な作家さん。
| かっつん | 21:15 | comments(0) | - | pookmark |
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