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松ヶ根乱射事件@京都シネマ

■監督
山下敦弘
■出演
新井浩文/山中崇/川越美和/木村祐一/三浦友和/キムラ緑子    



めちゃくちゃ面白かった。ストーリー等は公式の予告編を見てもらえば済むとして、ここでは感じたことをなるべく簡潔に。出来るだけ簡潔に。手短に。ちょちょいと。あらよっと。

・・・

これは実際にあった出来事を脚色して云々と冒頭で流れるのだが、ホントのところはよく分からない。そもそもこの監督、個人的には昨年の短編映画祭で初めてその作品に触れ、ある意味で(リンク先を読んでもらえば分かると思うが)リベンジとなる今日の新作であったのだが、最後まで耐えられるかしら?という一抹の不安を一蹴するような、かなりエキサイティングな凄い作品だった。

おそらく一般的には最も有名な前作の『リンダ・リンダ・リンダ』、これすら私は見ていないのでその作品全般について語るのはオカシイのかもしれないが、この山下淳弘という監督は、閉塞した空間におけるストレス(たる人間模様)を描くのが異常に巧い。この作品においても、ド田舎の小さなコミュニティという逃げ場の無い空間を舞台に、あーやだなー見たくないなー触れたくないなーというような、ストレスフルな情景が度重なるように映し出される。

閉じた空間というのはそれだけで十分にしんどいと思うのだが、この監督の作品には、その逃げ場の無い空間に、さらに"異常な"人間が投入されてくるからまたエゲツナイ。言うところの"壊れた人間"なのであるが、出来うるなら目を逸らしてわたしゃ何にも見えませんでしたよ的な態度でやり過ごしてしまいたいような人間が、どんどんどんどんと画面を通して迫ってくる。例えば電車の車内にてたまに遭遇するような、奇声を発しながら車内をグルグルと徘徊するような人物、こういう場面に出くわしてしまったらあなたはどうしますか?私はとにかく寝たフリをしてやり過ごす。で、それで事は済むのであるが、この監督の作品においてはそれが許されない。必ずソレに対峙することを強要される。だから、ほとんど『圧力』と言えるような強烈な『緊張感』が画面を通して終止放たれていく。

監督自身、何かのインタビューで、「僕は日常の中にある種の異物たる人物を投入して、その干渉によって周りがどんどんとかき回されていく様を描くのが好きだ」というようなことを言っていたが、今作でもいくつかの"異物"が投入され、それがちょっとしたきっかけとなって、ただでさえ『痛い』空間が、その『いたたまれなさ』を加速度的に上昇させていく。

じゃあ一体、そんな"耳も目もギューっと塞いでワーーーー!!!って叫びながら逃げ出して自分だけの空間に閉じこもってしまいたくなるような"居心地の悪い空間やら、心理的に強烈な圧迫を加えてくる"壊れた人"の様態を見せつけられて何が楽しいのか!?って話になるのだが、ある種のいたたまれない場の空気というのは、ほんのちょっとしたツイストが入るだけでこの上ない笑いに繋がるものであり、また壊れてしまった人というのも、そのヤバサ表出の度合いによってはこれまた"笑える描写"へと繋がるのであって、今作においてはその辺のバランス感覚がまさに絶妙で、もう画面から一瞬も眼が離せないわってな感じの磁場として働いていた。だから刺激的であり、面白いんだな。

ちなみに↑に書いた私が初めて見たこの監督の作品というのは、その圧迫感に全く隙間が無く、終止に渡ってグングンに頭を上から押さえつけるようなストレスを強いるものであったので、半ば吐きそうになりながら我慢して観ていたのであるが、今作においては一転、そのさじ加減が絶妙で、まさしく弛緩の対義語的な意味での緊張感が非常に良い塩梅で効いていた。

そのバランス感覚の話についてもうちょい書くと、間違いなくいつかの何処かでの史実に基づいているだろう本編ラストの数分間だけが、他と比して異常にキャッチーに(というかコミカルに)描かれていたことも含め、この作品では肝であるストレス原因物質がもたらす作用に対して、うまーく逃げ場を設けているので、それが興奮を促す刺激としてだけ働き、全くしんどい感じを思わせないところが凄くよかった。こんな世界を撮る監督って、私は他には知らん。個人的には絶賛したい作品。すごい監督だと思います。興味ある人は是非どうぞ。ちなみに劇中のBGMは虎舞竜やclass、堀内孝雄など。これもまた変な空気を醸してました。エンディングはボアダムスの楽曲でガッチリ。



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