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平山瑞穂/マザー


小学館『きらら』誌上で連載された「理想の人」を改題、加筆改稿した2010年刊行作

平山氏といえば、不条理が幻想を纏って浮遊する白昼夢めいた『ラスマンチャス通信』あるいは『全世界のデボラ』のような作品が印象的だが、一方では『忘れないと誓ったぼくがいた』に代表されるような、大崎善生ばりのセンチメンタル・ストーリーも多く書いていたりと、なかなかその作風を量りがたいところのある作家さんである。

今作を大別すると後者寄りになるのかな?実に意味ありげな"マザーとの別れのシーンから導入される物語は、ある人の「記憶の中の人」を軸として回り出す。夢の中の景色めいて曖昧ながら、身の回りに残る「確かにその人が存在していた」という痕跡。その小さくも確かな痕跡を集め辿っていくうちに、明らかになっていく一つの"世界を変えていく装置"の存在。

人の「記憶」という領域を素材に持ってきているのは面白いのだが、それを改変してしまうという肝心の"装置"にまつわる設定がどうにも弱い。そのため結局は「失った、あるいは失ってしまうかもしれない記憶や人」をネタにした人間ドラマみたいなところに終始してしまっており、『ラスマンチャス』のような混沌とした深みを見ることは適わずちょっと不完全燃焼。


『ラス・マンチャス通信』の感想は→コチラ
『忘れないと誓った僕がいた』の感想は→コチラ
『全世界のデボラ』の感想は→コチラ

| かっつん | 22:08 | comments(0) | - | pookmark |
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