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高千穂遥/ヒルクライマー


ロード乗りの中でも、坂を見ると登らずにはいられない「ヘンタイ←(最大級のほめ言葉)」気質な人たちをヒルクライマーと呼ぶが、そんな(一般的に見れば)十分にマニアックなフレーズを冠した自転車小説、である。

なかなか、印象的な導入部だ。かつて体育会系でならしたものの、中年の域にさしかかり、多忙を言い訳に増加する体重、低下する体力の波に流され始めていた一人の男が、ひょんなことから長野県の高地で目にしたヒルクライムレースに衝撃を受け、その世界へのめり込んでいく。それまで全く運動していなかった人間が、自転車に乗り始めてから見違えるような「アスリート」へと変貌していくというパターンは、ふだんblogや各種メディアにおいて少なからず目にする展開であるが、本書はその過程を追うわけではない。続く第一章からは、若くして病没した友人のロードバイクを受け取った19歳の若者が、それまで打ち込んでいたマラソンに代わって、ロードバイクの世界へ本気になっていくサマが主体に描かれる。小説の構図としては、その若者が、今や日本のヒルクライムレースのトップに君臨するまでになった序章の男へ挑むという形を成している。

レース、あるいはトレーニングの描写などは、実際その辺りで走っているローディーならニヤリとしそうな具体性があって面白いと思うのだが、反して妙に小説チックというか、例えば生活の全てを自転車に捧げるようになった男の家庭崩壊のサマや、その男の娘と先の若者が恋愛関係に陥ったりするなど、自転車以外の部分でヘンにドラマティックな設定を持ち込もうとしているところがどうもウマくないというか、せっかくの熱に水を差しているように感じた。

| かっつん | 22:21 | comments(0) | - | pookmark |
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