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ワーイ!★Y字路@横尾忠則現代美術館

 


1月31日水曜日。年始からしんどいことが続いていてメンタル的にだいぶ疲れていたので、急遽休みをとって魂の救済へ。とりあえず朝は6時からローラー1h。

 


9時半頃に家を出て、2年ぶりとなる横尾忠則現代美術館へ。前回はまだコロナ禍で入場時間毎の予約制だったことを思い出す。今回は事前に電子チケットを購入し、開館時間の5分ほど前には到着していた。

 


2024.1.27 sat. - 2024.5.6 monの期間で開催されている展示。もともと2020年に開催予定だったものが、コロナ禍で延期になっていたのだそう。なんちゅうタイトルやと思ったけど、当時、横尾さん自身がコレにしようと言ったとか。会場内は一部の作品を除いて写真撮影可能だが、動画やフラッシュ撮影は不可となっていた。

 

西脇市での展示のため2000年に初めて描かれた作品から、2016年の近作まで様々な"Y字路"が展示されている。100号や150号の大型作品もかなりの数が出展されており、一部Y字路を模したような造りの会場レイアウトとあわせてかなり見応えのある内容。

 


個人的には2001年に描かれた「暗夜行路 新・光と闇の帝国」が一番好みだった。原画でしか伝われないが、左手の柔らかな光のニュアンスが物凄く心地よい。右手には星条旗が立てられ、中央には小泉純一郎元首相の選挙ポスターが貼られるなど、同年に起こった911テロを含めて決して明るいメッセージを持つ作品ではないのだが、なぜか不思議な心地良さが感じられた。

 

こうした時代を反映したものや幻想的な事物が散りばめられたものなど、郷愁から風刺、異界との交差路となるものまで、多種多様なY字路との邂逅。

 

 

Y字路は、われわれの生活の中でも常にこのY字路に突き当たって、こっちにするかあっちにするかと迷う、そんな経験は誰にもあります。一日に我々は何度もY字路に遭遇します。昼の食事は、ラーメンにするか? カレーにするか? 誰かに電話するかどうか、こんな具合に終日、Y字路の前に立ちすくむのです。 【横尾忠則氏のインタビューより】

 

 

展示全体を通じて、どこかポジティヴな気分になれたのはなぜだろう?と考えていた。横尾さんが言うように、膨大な情報の中から常に「選択」する必要性に迫られるイマの世界は、考えようによってはとてもシンドイ時代なのかもしれない。特に「失敗したくない」という気持ちが強ければなおさらのこと。だけど、選択する自由があることはやっぱり幸せなことだと思うし、選んだ先に何があろうと、必ず何かがあると感じられることは、それだけで一つの希望なんだなとあまりハッキリと言語化はできないながら、そんな風に考えていた。

 


帰りに灘駅の近くにある有名店『洋食サエキ』でランチ。11時30分頃と早めの到着だったので、特に並ぶことなく着席。ミックスフライの定食は1,200円。有頭エビ、ミンチカツ、チキンカツ、クリームコロッケのセット。ごはんは大中小から選べる。付け合わせのキャベツもたっぷりの量で、十分に満足できるボリューム。個人的にクリームコロッケのとろけるような美味しさに悶絶した。

 


帰宅後、ホームシアターで映画を鑑賞。監督はバズ・ラーマン。おそらく今後も打ち破られることがないだろうセールスを記録し、キング・オブ・ロックンロールとして永遠に語り継がれるエルヴィス・プレスリーの42年余りの人生は、しかし決して幸せそうには見えなかったのがなんとも皮肉。作中では同時代に起きたキング牧師やロバート・ケネディの暗殺も描かれているが、どちらも40歳前後でこの世を去っているという事実に触れ、あらためて今自分が生きているこの時間について省みざるをえなかった。とは言え、考えたところでこれから何かを残せそうなモノは何も思い浮かばないのだが。

| かっつん | 20:31 | comments(0) | - | pookmark |
1mmも走らない日々

 

1月6日土曜日。まだ普通に歩くことすらできないので当然のようにランオフ。8時頃からローラー70min。ランチはハンバーグ。午後はいつもの休日と同じで、映画を観たりkindleで雑誌を読み飛ばしたりして過ごした。夕方に再度ローラー45min。

 

1月7日日曜日。左ハムの痛みは少しずつ良くなってきているが、かなり張りが強く、伸ばすような動作やストレッチは痛くてできない状態。とりあえず今朝もローラー一択。ランチはラム肉を焼く予定だったたのを変更してサンドイッチに。先日低温調理して残っていた猪ロース肉のロティを使うなどして手抜き。

 


夕方に難波の国立文楽劇場へ。母親が鑑賞券をとってくれた文楽新春公演。母親と奥さんと3人で鑑賞。

 

『平家女護島・鬼界島の段』


『平家物語』の一部に取材した近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)の作品。初演は今から300年ほど前らしい。全盛をきわめる平家打倒の謀略を企てた罪で、絶海の孤島・鬼界島へ流刑に処された俊寛僧都(しゅんかんそうず)、藤原成経(ふじわらのなりつね)、平康頼(たいらのやすより)。3年が経過し望都の思いを募らせる中、成経は島の海女である千鳥(ちどり)を妻に娶ることとなり、俊寛と康頼へ報告する。


一方、都では清盛の娘・中宮徳子の安産祈願のため大赦が行われ、鬼界島の流人も一部赦される事となり、使者が鬼界島へ向かう。しかし、赦免の使者・瀬尾太郎兼頼(せのおたろう)が読み上げる赦免状に俊寛の名前はなかった。嘆き悲しむ俊寛。そこへもう一人の使者・丹左衛門尉基康(たんざえもんのじょうもとやす)が俊寛も連れ帰るという赦免状を読み上げる。喜ぶ3人が船に乗り込み、島で成経と夫婦となった千鳥がそれに続こうとするが、瀬尾がそれを阻止する。赦免状に「3人を船に乗せる」と書いてある以上、4人目の千鳥は乗せることはできないと。

 

追い打ちをかけるように(かなり唐突に)、瀬尾が「俊寛が流されている間に清盛の命により俊寛の妻あずまやが殺された」と告げる(ここの顛末も読んでみるとかなり凄絶)。絶望に打ちひしがれる俊寛は、自分は島に残るから、代わりに千鳥を船に乗せてやるよう懇願。しかし瀬尾はこれを拒絶。思い詰めた俊寛は、瀬尾の刀を奪って瀬尾を斬り殺してしまう。 瀬尾を殺した罪により自分はここに留まるからと言い、代わりに千鳥を船に乗せるよう基康に頼む俊寛。


千鳥たち3人を乗せ、俊寛を一人残して船は出てゆく。「俊寛が乗るは 弘誓(ぐぜい)の船、浮世の船には望みなし」とかっちょよく見栄をきった俊寛だが、 去り行く船影を追いヨロヨロと崖によじ登り松の木に縋すがりながら悲痛な声をあげる姿とともに幕が下りる。


という悲劇的なストーリーだが、序盤で成経が妻となる千鳥を他の2人に紹介するくだりは、居酒屋で猥談にふけるオッサンに近いものがあり面白かった。「え?(海女の)千鳥ってもしかしてワカメ一枚張り付けた姿で出てくる!?」とドキドキしたが、普通にたくさん服を着こんでいた。


ちなみに俊寛僧都と聞くと高齢なイメージを抱くが、この鬼界島で亡くなったとされる当時の年齢は37歳だったらしい。舞台のラストで崖がグググーっと動く仕掛け(廻り舞台というらしい)は圧巻。

 


『伊達娘恋緋鹿子・八百屋内の段/火の見櫓の段』


八百屋の一人娘お七が、愛する男(吉三郎)のために天国(あまくに)の剣を取り戻し、それを届けるため死罪覚悟で火の見櫓の半鐘を打ち鳴らして町木戸を開かせる、というストーリー(雑だな)。


『八百屋内の段』ではお七が両親から意に添わぬ男(武兵衛)と結婚するよう説得される場面が演じられるが、どうやら家が火事にあって借金があり、自分が嫁がねば家が潰れてしまう、という状況らしい。一方で、お七が恋する吉三郎が何故にそんな大事な(天国の)剣を紛失したのか!?(実際は吉三郎が仕える若殿左門之助が盗まれたらしいが)というところはぽやんとよくわからないまま展開するのだが、こちらも百日の猶予期間が明日に迫り、見つけ出せなければ切腹という差し迫った状況であることは説明される。


え、でもでも、みんな必死で探しても見つからなかった剣が最終日に都合よく見つかることなんてないよね!?と思っていたら、丁稚の弥作が「わて、知ってまっせ〜」といきなり戸棚から出てきて教えてくれるというミラクル。個人的にはその瞬間が、前に座ったオッサンの巨頭で見えなかったことが唯一の心残りw


お七が激しくヘドバンしながら櫓を上っていくサマは圧巻。海外ならスタンディングオベーションが起きるだろう。たっぷりと堪能し、21時半頃に帰宅。お餅を焼いて食べて寝た。

 

1月8日月曜日。室内だとほとんど左足の痛みを意識しないで歩けるぐらいになってきた。今朝もローラー。最低1hの予定で初めて80minまで。ランチはラム肩ロースのロティなど。作り置きしていたミックススパイス(アドヴィーエ)を使った。午後からの過ごし方もいつもと同じ。久しぶりにクラシックコンサートに行きたくてシンフォニーやフェスティバルホールのスケジュールを眺めているが、チャイコフスキーやラフマニノフの交響曲やピアノ協奏曲はこちらではあまり演っておらず、3月に公演予定があるものもすでに完売していた。かなり飽きてきたが夕方にローラー。昨日からペダリング左右差が50:50に戻っていたが、今回再び左49:右51に悪化していた。

| かっつん | 20:38 | comments(0) | - | pookmark |
カオティックインド神話

11月23日木曜日。祝日。引き続き膝の痛みが解消されず、今朝もランオフ。代替にもならない緩い強度でローラー25min。今日は奥さんとみんぱく(国立民族学博物館)へ行くので少し慌ただしい。9時ジャストにスーパーへ到着して必要な食材を買って帰り、そこから持参するランチ用にサンドイッチ×2種を準備。

 


10時前に家を出て、私鉄とモノレールを乗り継いで11時前に万博記念公園着。

 


早速、本日のお目当てである特別展へ。

 


いつ来ても、どんな展示でもこちらの期待を裏切ることのない圧倒的な物量と情報量の密度の内容。加えて今回はインドである。神様である。氾濫するカオスな情報量に脳の処理速度がまったく追いつかない。

 


八百万信仰の日本ではある意味、日常のいたるところに神様がいらっしゃると考えるが、それをふだん意識し「感じて」いるかといえば大抵の人にとっては「否」だろう。対するインドでは、文字通り日常のあらゆるところに神様を「感じて」おり、生活のほぼすべての部分で神様の介在を意識している、、、インドにおける神と人との「交感」を様々な形で紹介するこの展示を見ながら、そんなことをぼんやり考えていた。

 


2時間半ほどで鑑賞を終え、持参したサンドイッチでいったんお昼休憩。

 


続いて本館の常設展へ。いつも終盤は情報過多でグロッキーになるため、今回は逆回りでいこうとそちらから。がしかし、結局最後は時間も脳のキャパシティーも全然足らずに後ろ髪ひかれる思いで会場を後にするというお決まりのパターン。映像アーカイブや一般閲覧可能な書籍などまったく見る暇がない。1週間ぐらいここで合宿したいなーとはいつも思うこと。

 


とにかくも、太陽の塔とみんぱくが在るこの万博記念公園は、世界に誇れる文化遺産だと思う。かつて維新のどっかのアホ首長がここの補助金をぶった切って破壊しようとしたことは死ぬまで忘れないだろう。

| かっつん | 21:19 | comments(0) | - | pookmark |
テート美術館展&長沢芦雪展

11月8日水曜日。仕事のストレスで心が病みまくっているので、休暇をとって気分転換。

 

9時過ぎに家を出て大阪中之島美術館へ向かう。会期前よりかなり気になっていたテート美術館展へ。テーマは「光」。と聞けば聖書に馴染みのない者からしても


神は「光あれ」と言われた。すると光があった。(創世記1:3)


というフレーズが頭に浮かぶが、本展における宗教画はごく少数。

 

面白かったのは、「光の画家」と称されたイギリスのジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーによる、光がもたらす効果や印象をロジカルに解説した素描。アートというとどうしても感覚的な部分に重点があるような気になってしまうが、その感覚へ作用するための理論であったり技術であったりをそもそも分かっているのかいないのかがやっぱり重要なんだなーと思ったり。

 


そのターナーの作品はじめ、本展のパンフレットにも用いられているジョン・ブレット《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》など、淡い光が印象的な風景画は、見ていると荒んだ心が浄化されるような心地よさがあった。

 


ターナーは続く印象派の作家たちに多大な影響を与えたそうだけど、本展でも《エプト川のポプラ並木》が展示されていたクロード・モネの展示が来年2月から、ここ中之島美術館で開催されるらしい。

 


金沢21世紀美術館で体験した《タレルの部屋》も記憶に残っている、ジェームズ・タレルによる《Raemar, Blue》

 

ディヴィッド・バチェラー《ブリック・レーンのスペクトル 2》

 

作品を生で見たのはたぶん初めてだったオラファー・エリアソンの《星くずの素粒子》まで、様々な光に包まれたなかなかに面白い展示だった。ただ、全体的に作品数が少なかった印象は否めず。それなりにゆっくりと鑑賞したつもりだったが、40分ほどですべて見終わってしまっていた。

 


もともとは昼ゴハンを挟んでいくつもりだった、同館で同時開催中の「特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」へ。先のテート展のチケットが2,100円で芦雪展は200円の割引適用で1,600円。


芦雪の作品をまとめて見るのはたぶん17年ぶり。本展では前後期で展示作品の半数が入替になっているそうで、なんだかケチくさい話やなーと思っていた。ただ、実際の展示品を見ると「個人蔵」が8割以上という感じで、なかなかこれを一同に集めるのは大変だったんだろうとは思った。


先の「テート展」が、一部で"知覚や認識の不確実さ"に言及したり、"そもそも現実とはなんなのか?"を問うような小難しい面が見られたのもあって、対照的に芦雪の絵からは純粋に"見る人を楽しませたい"という思いが強く感じられた。後期の目玉作品である島根県・西光寺の《龍図襖》は圧巻。照明が落とされた展示室で、じっくり2度、3度と鑑賞。ほかにも《鼠大根図》など、これまで観たことがなかった作品もあり、かなり満足度の高い内容だった。

 


ランチは隣接するダイビルの超人気店「世界一暇なラーメン屋」へ。13時過ぎだったので、4人ほどが並んでいるだけですぐに入店できた。今回はこのお店のスタンダードであるWITCH'S REDに豚丼のセット。クラフトビールもあわせていただいた。普段ラーメンを食べることがないので、他のお店との比較はまったくできないけど、十分に美味しくて満足。

 


そのまま福島のほうまで歩いて「PANE PORCINI」でパンをいくつか購入して帰宅。予定よりも早く、15時前には帰れたので早速コーヒーを淹れて、買ってきたパンをおやつにいただく。


今朝は走らなかったので、16時過ぎからジョグへ。胃の中でラーメンとビールとパンとコーヒーがシェイクされてかなり気持ちが悪い。終盤になってようやく身体が少しまともに動くようになってきたが、そのあたりから右膝だけでなく左膝にまでも痛みが出てきてしまう。この件に関してはまた明日の別記事で書くが、金沢マラソンから10日経ってもまだ完治しないこの痛みは、残念ながら故障レベルの扱いへと昇格してしまった。

| かっつん | 20:37 | comments(0) | - | pookmark |
2020 Solidarity by BETWEEN BRIDGES

新型コロナウイルスのパンデミックによって、大きな打撃を受けているアートシーン。次がどうなるか予測もつかない未曾有の危機のなかで、いち早く自らの手で世界中のアートスペースを支援するプロジェクトを打ち出したのが、ベルリンに拠点を置くアーティスト、ヴォルフガング・ティルマンスだ。

 

彼が支援として始めたのは、ポスターを使ったベネフィットプロジェクト「2020Solidarity」。世界各国50人のアーティストが手掛けたポスターを、寄付を必要とするアート関連団体に無償で提供するものだ。各団体はそれを1枚50ユーロ(6,000円)で販売し、その収益を活動費に充てられる仕組みになっている。日本でも9つの団体(amala、ASAKUSA、Clinic、IACK、POST、torch press、twelvebooks、Utrecht、ダイトカイ)が参加しており、6月30日まで各団体のサイトを通じてポスターを購入可能だ。

 

期間終了間際に知ったこのプロジェクト。迷わず個人的に大好きな写真家/Andreas Gurskyの作品を注文した。Gurskyのこのサイズのポスターがこの価格で買える機会はそう多くないはずなので、これは貴重かも。

 

あわせて、こちらもお気に入りの写真家/Thomas Struthの作品も注文。これ以上買っても飾るスペースがないのでやめとくけど、他にも気になる作品がいくつか。6月30日までの期間限定なので、この手の作品に興味がある人は一度覗いてみると楽しいかもしれない。

 

http://www.betweenbridges.net/

 

 

【本blog内関連記事】

ANDREAS GURSKY展@国立国際美術館(2014.2.6)

現実という概念の不安定さ(2006.1.9)

 

| かっつん | 20:28 | comments(0) | - | pookmark |
いつ見ても異様だ


11月3日日曜日。文化の日。毎日1時間ほどかけてストレッチや簡単な補強を続けてるけど、なかなか腰周りの疲労や下腹部の痛みが良くならない。走らなければ痛みは軽減するんだけど、走るとすぐに痛みが出てしまう。昨日の疲労もあるので、今朝はリカバリージョグで流すだけ。15kmの予定でスタートして、少しだけ延長してトータル17km。ave.4:26/kmで平均心拍は低く129bpm。

 

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今日は奥さんと久しぶりに万博の国立民俗学博物館へ。昔はみんぱくゼミナールに行ったりわりと定期的に来てたけど、考えてみたらエキスポランドが閉園して「EXPO CITY」がオープンしてからは一度も来てなかったような。三連休中日の晴天というのもあってか、万博へ向かうモノレールからして想像以上の人出。まさか自然文化園に入場するのにあれだけの行列が出来てるとは思わなかった。。

 

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「つねに新鮮だ」

そんな優雅な言葉では足りない。つねに異様で、つねに恐ろしく、つねに偉大で、つねに何かがおかしい。何度も訪れるたびに、慣れるどころか、ますます怖くなる。太陽の塔が視界に入ってくるまで待つことが、たまらなく不安になる。その不安が裏切られることはない。いざ見れば、きっと前回より大きな違和感があなたを襲うからだ。太陽の塔は、見るたびに大きくなるだろう。決して小さくはならないのである。≪森見登美彦/太陽の塔≫

 

久しぶりに対面した太陽の塔、やっぱりいつ見ても、何度見ても、どれだけ見ても凄い遺産だなこれは。1970年の大阪万博の際、この太陽の塔の内部に展示されていた世界各地の民俗学的資料が、以降は後述する国立民族物博物館で展示されてるんだけど、かつてこれを「経費の無駄」だとして「無くそう」とか言った橋下徹の下品さは絶対に忘れない。

 

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今日は広場でフリマをやってたりしてかなり賑わってたけど、広大な敷地なので、園の中に入ってしまえば人口密度は一気に薄まって快適。とりあえず先に昼ごはんを食べてしまおう、ということで、家で作ってきたサンドイッチでランチ。屋外のベンチに座って食べるサンドイッチの美味しいことよ。

 

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んで、そこからお目当てのみんぱく特別展『驚異と怪異ーー想像界の生きものたち』を鑑賞。こちらは一部作品を除いて写真撮影は不可。しかしさすがみんぱく、展示のセンスはもちろん、その密度が濃すぎて凄い。早々に頭が飽和しつつ、少し休憩を挟んでから今度は企画展「アルテ・ポプラル――メキシコの造形表現のいま」を鑑賞。

 

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オアハカでの「死者の日」をメインにメキシコ旅行をしたのももう4年前なのか。そこからまだ海外はどこも行けてないワタクシ。今一番行きたいのはイタリア。来年に向けてそろそろ旅程など検討したほうがいいかも。

 

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みんぱくを堪能し(というかここは丸一日あっても全然時間が足りない)、かなりの満足感疲労感を覚えつつ帰路へ。外で食べて帰ろうか考えたけど、それはそれでしんどそうなので、帰ってピザを焼くことにした。

 

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茹でてからガーリックオイルを回しがけたジャガイモに、先日作って残っていたモーリョヴェルデという緑のソースをトッピングした1枚。もう一枚はトマトソースの代わりにこれまた残っていたロメスコソースを使った。

 


11月4日月曜日。祝日。コンディションが良くないのでトレオフでもいいかなと思ってたけど、目が覚めてしまったのでゴミ出しついでに軽くジョグへ。昨日と同じく、走り出して2kmも行かないうちに、腰の右辺りに鈍い痛みがじんわりと広がり始める。下腹部の痛みは、一番酷い時のような走り出した直後から痛いのと比べればマシ。それでもしばらく行くとやっぱりこちらも張ってくる。そんなんだからテンションが上がるはずもなく、12kmだけ走って帰宅。

 

そして今日も午前中からすぐにランチの支度にかかるという。旬の秋鮭をムニエルにして、焦がしバターと醤油、ケーパーなど合わせたソースをかけた。これだけやと足りんと思ったのか、鴨ロースをanovaで3時間低温調理したものに、カリフラワーを地中海風スパイスと一緒に炒めてクスクスっぽくしたものを合わせたワンプレートも追加。以前買ったグリッロを使ったイタリアワインが1,000円ぐらいでかなり美味しかったのに味をしめて、別のメーカーのグリッロを買ってみたけど、これはその辺のお店で出てくる安いグラスワインの味、って感じだった。ランチを終えて片づけをして、平日の常備菜の準備などを終えるともう14時半を過ぎていた。15分ほど昼寝して、後はNETFLIXで映画を観たりして夕方まで。

 

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晩ゴハンは、和知シェフのレシピ本に掲載されていた洋風カレー。香味野菜をじっくりじーっくり煮詰めて、片や溶けてなくなるぐらいまで煮込んだ肉と合わせるという手間のかかった仕様。使ったカレー粉がインドのそれだったので、あまり洋食屋のカレーっぽくならなかったのがアレだったけど、見た目はともかく、めちゃくちゃ深い味わいがあって美味しかった。連休中のゴハンがどれも、奥さんがとても喜んで食べてくれたのが嬉しい。

| かっつん | 20:13 | comments(0) | - | pookmark |
創作宗教画


9月15日日曜日。6時前に起きるも走る気力が湧かず、レース前には休息のほうが大事だという言い訳に簡単に屈する形で11kmちょっとだけ走って終了。ave.4:32/kmで平均心拍は131bpm。

 

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今日はあべのハルカス美術館へ『ギュスターヴ・モロー展』を観に行く予定だったので、9時前には家を出て大阪へ。奥さんがフランスへ行った際になんとなく入ったモロー美術館でハマった画家で「きっとお前も好きだろうよ」とオススメしてくれたので一緒に鑑賞。開館5分前ぐらいに到着。大阪出身ながら、あべのハルカスに入ったのは初めて。展示のほうは素描や習作が多く、見方によってはマニアックとも言えそうな構成。大判の油絵がもっと多数出展されていればなーとも思ったけど、多くが神話から題材をとったその作品は、静かに蠢く色彩の奥行きを背景に一種独特の雰囲気を纏っており、その寡黙で静謐な迫力をじっくり味わうことが出来た。それにしても神話ってなんでこうもグロテスクで残酷な表層をもったものばかりなんだろうね、と思いつつ、でも実際のところ現代においても人間同士がやってることってこれと同じ範疇で語られるモノでしかないのかもね(加えて人間以外の生物に対しては比べ物にならないぐらい酷いことをしている)、とも考えたり。

 

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帰りに新梅田食堂街の「釜たけうどん」でランチ。ちく玉天ぶっかけの大(麺量800g)をペロリと。美味しかったなー。


帰宅して、録画しておいたMGCを観始める。が、HDD容量が不足していたようで18km地点までしか録画できておらず。。奥さんが見つけてくれてparaviというアプリに登録して、無事に残りも見ることができた。28℃前後というマラソンには厳しいコンディションの中で、それぞれの背景や意思を持った選手たちがガチンコでぶつかる勝負。設楽選手のような強者でも、配分を間違えれば終盤であれほどまでに失速してしまうというマラソンの難しさや、トラック競技を思わせる大迫選手の凄まじいスプリント、そしてそのスパートにも気持ちを切らさず代表権の座を獲るべく最後まで押し切った服部選手の強靭な走りなど、マラソンの難しさや厳しさ、歓喜や興奮といったものが強く感じられる素晴らしいレースだった。しかしあらためて、来年8月のオリンピック本番での酷暑が心配になるな。

 

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その後は家の雑用をしたり要らないものをオークションに出品したり。夕方にローラー40min。晩ゴハンは鶏肉と無花果のクスクス。以前に調合したクスクススパイスが残っていたので、かなりラクして作ることができた。

| かっつん | 20:08 | comments(0) | - | pookmark |
ヨルク・シュマイサー回顧展@奈良県立美術館


5月26日。例によってあまりにもダルいので、おきてから10分ほどトイレで座り込んでしまったりしつつ、6時過ぎのスタートでジョグへ。昨日よりも体感気温・湿度ともに高く、陽射しも強いように感じられる。身体が悲劇的なまでに動かず、なんとか10kmだけはこなそうとヨタヨタ。8kmあたりでなぜかそこだけやたらと気持ちよくなるボーナスタイムがありつつ、徐々に解れてきた身体の状態を確かめながら、最終的には15.5km。ave.4:38/kmで平均心拍は133bpm。朝食を済ませ、10時過ぎから奈良へ。先週、京都のギャルリー宮脇で、少し運命的なものも感じる再会をしたヨルク氏の回顧展が奈良の県美で開催中と教えていただいたので、早速行ってみることに。

 

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ふだん行くことが滅多にない奈良だけど、意外に近くて交通費も片道1,000円弱。電車も空いていて座れるし。しかしさすがに近鉄奈良駅周辺は、外国人観光客や修学旅行生などでかなりの人混み。予約していたベトナム料理『コムゴン』でランチ。

 

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人気のお店らしく、終始外には入店待ちのお客さんが並んでいるぐらいだった。要予約なコースランチのほうにも目移りしつつ、今回はそれぞれブンボーランチ()、ブンティットランチ(厚切りトロトロ肉と煮豚チャーシューのぶっかけビーフン)を注文。甘辛さと酸味のバランスが最高で、期待以上の美味しさ。今度家でも作ってみよう♪デザートにバインフラン(カラメルにベトナムコーヒーが入ったカスタードプリン)とチェー(白玉とタピオカのココナッツミルク)も。

 

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腹ごしらえも済んだので、そこから歩いて10分ほどの奈良県立美術館へ。予想通りというか、館内はすごく空いていて、作品をじっくり鑑賞するにはベストな状況。場内はカメラ撮影可(フラッシュ不可)と聞いていたので、気合を入れてこれまで料理写真を撮るばかりで一度も外へ持ち出したことのなかったα7を持参したのだけども、後述する理由により実際はあまり多くを撮ることはなかった。

 

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今回の展示は、旅する版画家とも呼ばれたヨルク・シュマイサー氏(1942年-2012年)の、没後初めてとなる大規模な回顧展。10年以上前に京都のギャルリー宮脇で開催されていた個展をたまたま目にして依頼、奥さん共々すごく好きな画家だった。そのギャラリーでお話させてもらった当時はもちろん、まさかその3年後に亡くなられてしまうとは思ってもいなかったのだけど。

 

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ヨルク氏の作品の多くは、目の前の風景や人物を写し取りながら、その実、そこに対峙する観察者の内面やあるいはその対象物に内在する記憶や歴史といったフローが同時に描き留められているように感じられる。ドイツに生まれ、京都や奈良、オーストラリアなど様々な場所に暮らし、そしてそれ以上に多くの国や場所を訪れて創作を続けたヨルク氏。旅する版画家とも言われ、精緻極まる技法をもって自身と共に日々変わりゆくものを記しながら、また同時にその中に普遍的とも言える存在=記憶=感覚を匂わせる作品群。今回の展示において、一連のシリーズにおける、あるいは生涯を通じての変遷という形で多くの作品に触れる中で、あらためてその魅力を体感することが出来た。惜しむらくは作品の多くがアクリル板を通したショーケースの中での展示であったため、その距離をもどかしく感じるところが少なからずあったところだろうか。作品を記録するという面では写真も撮り難い状況であったため、シャッターを切る回数はかなり少なかった。

 

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県美を出ると、時間帯もあってかかなりの暑さ(この日は33.6℃まで上がっていたらしい)。奈良は盆地であるという地形状、かなり暑さが厳しいイメージがある。せっかくだから鹿や大仏を観に行こうか?と話しつつ、またの機会にすることに。結局は柿の葉寿司や吉野葛などを買うにとどめて帰宅した。

 

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今日はもういいかなと思っていたけど、リフレッシュがてら夕方にローラーを30minだけ。今週はなんだかんだで自分には珍しくトレーニング時間が11時間を超え、ラン=114km、バイク(ZWIFT)=108kmと距離を踏むことはできた。晩ゴハンは奥さんのリクエストでポルチーニのトマトクリームパスタ。生クリームは使わず牛乳と少量のバターで代用したけど、かなり濃厚な仕上がりで十二分な食べ応えと満足感があった。

| かっつん | 20:17 | comments(0) | - | pookmark |
久々の奈良

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| かっつん | 20:33 | comments(0) | - | pookmark |
バベルの塔展@国立国際美術館

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6月に鑑賞した「ベルギー奇想の系譜展@兵庫県立美術館」がきっかけで、それまで農民画家という認識でしか知らなかったブリューゲルの別面での魅力を知ったワタクシめ。ちょうどその直後に↑のキャッチーなチラシと共に本展示のことを知ったのでした。そうして会期終了1週間前となる昨日、ようやく観に行くことが出来た次第。


しかしながらまったくリサーチせずに出かけたところ、開館10分前に到着すると、既に入館待ちの長蛇の列が・・・まさかこんなに凄い人出だとは思っていなかったため、一瞬帰りたくなったり。。美術鑑賞のためにこれだけ並んだのって、記憶にあるのは10年前に相国寺であった伊藤若冲の展示以来。当然のように前売り券も買っていなかったため、入館してからまたそれを買うために並び、結局展示室に入るまで15分以上が経過。ただ、後から調べるとこんなのはまだマシなほうだったようで、場合によってはもっと凄まじい混み具合だったりするのだとか。


さておき、肝心の企画展のほうはと言うと、入室するとまずは16世紀のネーデルラントの彫刻作品が、続いてフランドル地方の宗教絵画、そしてヒエロニムス・ボスおよびそれに追随する画家たちが描いたグロテスクかつユーモラスな異形のモノたちが跋扈する奇想の作品群、さらにはその流れを汲んで展開されるブリューゲルの版画を始めとする作品が展示され、ラストにメインの「バベルの塔」が登場するという構成。ブリューゲル作品の一部は、先の県美での展示作品と被っているものもあったけど、やはりこの人が描く奇怪なイキモノたちの姿態やその蠢くサマは見れば見るほどに面白く、魅力的。惜しむらくは、いずれもそうした細部にこそ魅力が宿る作品(キャンバスそのものも小ぶりだし)にも関わらず、作品と鑑賞者を隔てる鉄柵が必要以上に広くとられているため、もっと近寄って観たい!!というフラストレーションをそれなりに感じた。これはとっても残念だった。

 

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そしてメインとなるピーター・ブリューゲル1世作の「バベルの塔(小バベル)」については、鑑賞するために10分ほど並び、作品の前に立ち止まることが許されないため、鑑賞時間は1分に満たないという状態。旧約聖書に登場し、ヒトが神へと近づかんとして建造したと記される巨大建造物の細部や、その塔の中で生きとし生ける無数の人たち(わずか新聞紙を広げたサイズのキャンバス内に1,400人が描き込まれているらしい!)の様子など、超細密に描き込まれたその細部にこそ正しく神が宿る作品なだけに、この鑑賞形態だと全く持って物足りない、、、という感想。それもあってか、事前に見知っていた作品の表層やディテールを打ち破ってなお衝撃をもたらすような、本物の作品を目の当たりにした時ならではの昂揚といった感覚は弱かった。

 

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総括してみると、やや扇情的で大々的な広報に比して、展示の実際としてはややアッサリした内容だったなという印象。世界にも25点しか存在せず、かつ今回が初来日となったヒエロニムス・ボスの油彩2点が観られたという点だけでもかなり価値があったとは思うけど、それにしたって「バベル」一点押しな感が強いコマーシャルの中ではおざなり感のある扱いで(いちおう副題にはなってるが)、なんだか勿体ないなーと思ったり。結果的にはこれだけたくさんの来場者を集めているわけで、あのバベルのキャッチーな要素を上手いこと使ってやったなーとは思いつつ、あの大々的な広報にかける予算や時間をもう少しだけ企画展示の内容そのものに傾けて欲しかったなという風にも感じた。自分のように美術に疎い人間にとっては、会場で丁寧にその作品の魅力が掘り下げられた形で(それは必ずしも細かな解説が必要ということではなく、展示の並びや全体における位置づけなどによってその本質的な魅力を浮かび上がらせるということも含めて)それまで知らなかった画家や作品に「出会える」ことが大きな喜びだったりするので。

 

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今回の企画展に合わせて大友克洋氏が手掛けた「INSIDE BABEL」の原画2枚は、美術館へ入館してすぐのフロアに展示。こちらは企画展のチケットを買わずとも鑑賞できる。作成にまつわるショートフィルムと共にかなり見応えのある作品。惜しむらくはこちらも設置場所が太陽光がモロに反射するフロアという環境で、背景の映り込みなどが発生して観難いったらない、という感じ。もう少し考えてほしいなーとこちらでも思ったのでした。

| かっつん | 21:09 | comments(0) | - | pookmark |

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